薬価維持特例の試行的実施に向けて (2) ─ 中医協・薬価専門部会
■ 「イノベーションの評価がバックグラウンドにある」 ─ 松谷専門委員
[松谷高顕専門委員(東邦ホールディングス会長、日本医薬品卸業連合会副会長)]
中川先生からのご指摘、この制度(薬価維持特例)を導入する必要性について、環境の問題で申し上げたい。
私も薬業界の人間として、外資やPMDA(医薬品医療機器総合機構)などの開発の問題、それに対する医師の関わり方、いろいろなことを聞いていると、日本での開発ができなくなって新薬が出なくなると、日本での臨床開発そのもののパワーも衰えてくるし、韓国や台湾や中国にみんな行ってしまうという意味で、新薬の開発と日本の医療の発展や技術のアップは一緒になっていると思っている。
一番、それを感じるのは、日本に研究所を持っていた外資のほとんどが、日本ではなくシンガポールや中国に研究所を移転しているという事実。筑波にあった研究都市から外資系メーカーがいなくなった。
日本のメーカーもボストンなどにどんどん移っているという意味で言えば、日本自体が開発力を落としていくということ。
外資から良い薬が入ってくるのはいいが、日本で開発できなくなれば日本の技術が衰えることになる。イノベーションを評価して、医薬品・医療機器をそういう産業にしようというのが政府の1つの考え方。それをバックグラウンドにして、この提案がされているということを、私は薬業界の人間として強く感じるので、ご理解いただきたいと思っている。
[遠藤部会長(中医協会長)]
ま、その種のお話は......、前回(6月3日)のトップが、その趣旨で発言されていた。もう少し具体性のあるようなデータで、その話を裏付けてほしいというのが今回の話ということ。今後ともよろしくお願いいたします。
それで、まだまだ議論はあるはずだが、非常に大きなシステムの変更なので慎重な議論をやってきた。まだまだ(製薬業界の説明が)十分ではないので、データも揃えていただきたいということ。
ただ今の議論の中で、やはりこれは業界提案なので、業界のトップに当たる方からまたお話を聴けないと、なかなか質問に責任を持って答えていただけないということがあったので、今後の薬価専門部会でトップまたはそれに該当する方をお呼びして質疑をするという場を設けるという流れでよろしいだろうか?
(反対意見なく、了承)
はい、ありがとうございます。それでは、事務局(保険局医療課)と相談して、そのような方向で検討したいと思う。では、本日頂いたご意見を踏まえて事務局あるいは専門委員で資料を整理していただき、次回の薬価専門部会でさらに議論を進めたいと思う。
事務局(保険局医療課)、何かございますか?
[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
特にございません。
[遠藤部会長(中医協会長)]
はい。それでは、本日の薬価専門部会、この辺りで終了したいと思う。次回の薬価専門部会について、何か予定は?
[磯部薬剤管理官]
今日の話(意見)もあったので、どういう形で対応できるかも含めて調整して、追って連絡させていただきたい。
[遠藤部会長(中医協会長)]
はい、よろしくお願いいたします。それでは、本日の薬価専門部会、これにて閉会したいと思う。どうもありがとうございました。(散会)
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【目次】
P2 → 「現行制度で国内メーカーが経営難に陥るのか説明を」 ─ 中川委員
P3 → 「十分に理解できていないので、もう少し説明が必要」 ─ 山本委員
P4 → 「仮に踏み出すなら、恐る恐る石橋を叩きながら」 ─ 対馬委員
P5 → 「イノベーションの評価がバックグラウンドにある」 ─ 松谷専門委員