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〔自律する医療②〕「韓国に10年遅れている」

 亀田メディカルセンターのJCI認証取得を追うシリーズ2回目。
 1回目はこちら。

natumetakasi0827.JPG JCI事務局の責任者を務めた夏目隆史・メディカルディレクターは、当初その役目に気乗りしなかったという。「昨年の秋ごろに旗振り役をやれと理事長に言われた時、無理だと言った。たしかに病院機能評価とかISOとか基盤になるものは病院としてできていたけれど、JCIがどういうものか見せてもらって、あまりにハードルが高いと思った。それでもやれというから、結果はともかく、やれるだけのことはやりましょう、と引き受けた」

 年が明けてすぐ、そんな夏目氏の顔色と目の色を変えさせる出来事があった。一足早くJCI認証を取得済みの韓国・延生大学セブランスホスピタルを視察に行ったのだった。

 「1,400床ぐらいの総合病院を中心に10ぐらいの医療センターが周囲に並んでいるのだけれど、中に入った瞬間に、本当にここは韓国なのか、やられた、と思った。医療の質、患者さんの安全性に関する取組が徹底的にされていた。スタッフはビシっとしているし、設備も日本にはないような素晴らしいもの。どれほど日本と差があるか、行けばすぐに分かる」

 循環器が専門で自治医大教授などの経歴を持つ夏目氏は、学会などで15年ほど前までに何回か韓国を訪問したことがあった。その時のつもりで日本の方が進んでいると思っていたら、「日本の方が10年遅れていた」のだった。「JCIなんて絶対に無理だとバーンと判子を押されたように強い印象を受けた。でも、逆にそれからは受審に向けて必死になれた」

 アジアナンバー1は自分たちだと信じていたからこそ、国内で通用しない認証のために無理する必要はないと思っていた。しかし、自分たちの方が遅れていると分かってみると、話は別だった。

 それはそれとして、夏目氏は一体何に対してハードルが高いと感じたのか。実は亀田総合病院はJCI受審の1ヵ月前である7月に、病院機能評価の最新版ver.6の審査も受けている。この2つの機能評価は、どこを審査するかという項目だけ見ると、かなり重なる部分が多い。しかし、その実態は「問題をあらかじめ教えてもらってやる定期試験と、抜き打ちの実力試験ぐらいの差がある」(亀田信介・亀田総合病院院長)らしい。
つづく

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