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ニュース〜医療の今がわかる

「民主党のマニフェストでは医療問題を解決できない」 ─ 医療基本法シンポ

■ 「巻き込んでいく」 ─ 田中氏
 

[埴岡健一氏(日本医療政策機構理事)]
 それでは、大変短い時間ではありますけれども、パネルディスカッションを進めていきたいと思います。「医療基本法」について5人のプレゼンテーションを聞いていただきましたが、それを受けてディスカッション。時間もございませんので、3点ぐらいに話を絞りたいと思います。まず第1に、「医療基本法」の必要性と有効性についてどう考えるか。それぞれのお立場から一言ずつ伺います。

 それから2番目に、「医療基本法」の内容ですね。「医療基本法」と言っても、皆さんそれぞれにイメージがかなり違うかもしれませんので、ただ、細部に入りますと"各論地獄"になりますので、どうしても入れたいコンセプト、なければならない柱ということについて、どう考えるかを伺います。それが2点目です。3点目は成立に向けて動くとして、その成立へのプロセスはどうなるかということで、ここでは2点。1つは政治の中でのプロセスをどういうふうに見ていくかということと、第2はですね、政治だけではなくていろいろなステークホルダーがどういうふうに活動していくか。その2点について伺いたいと思います。(中略)

 3点目ですが、(医療基本法が)必要であって、一定のシンプルな整理ができて話が進んでいくとして......。これ、「医療基本法」ですので、国会で成立させなければいけないわけですが、そのプロセスはどうなるんでしょうか。今、まさに大きく政治構造が変わっていく中で、「医療基本法」はどういうふうに進んでいくんでしょうか。
 フロアー(会場)の方(約30人)に伺いたいんですけども、政権交代によって、「医療基本法」にとっては追い風であるか逆風であるか二択で聞きたいと思うんですが......、しばらく考えますか? 大丈夫ですか? はい、「順風だ」と思う方......。「逆風である」という方......。はー......、なるほど。(浮かない表情)

 「順風」が3人ぐらいですか。「逆風」は10人強ですね。あとの方は「ちょっと難しいなあ」という感じで保留されてますけど。なるほど、3対10で「逆風」が多いということなんですが......。

 ▼ 医療費抑制策を推進した自公政権にぶら下がった「日本医療政策機構」の連中が主導する法律。そう簡単に進むとは思えない。同機構は昨年12月、ホームページ上で、「医師たる者が業務を独占しながら応召義務を果たさない」「いまあるもので何とかするのが医療だ」などと医療現場の姿勢を批判する信友浩一氏(九州大学大学院教授)の提言を掲載した。今回のシンポジウムは、同機構の代表理事である黒川清氏らがつくる「東京大学医療政策人材養成講座」の医療基本法プロジェクトチームの主催。
 なお、埴岡健一氏(日本医療政策機構理事)については、こちらを参照。要するに、「ミスター検討中」などと揶揄されている長妻昭厚労相の政策ブレーン。医療再建ところか、このままでは医療崩壊がますます加速するのは必至。シンポジウムのプログラム集には「医療再建の切り札」などと書かれていたが、勘違いも甚だしい。

 えー......、パネリストの方に伺います。政治的プロセス、どうやったらですね、成立できるのか、どういうふうに進むと予想されるのか、どういうふうに誘導すればプロセスが早く進むのか、その辺りに関してのご感想を伺えますでしょうか。これも難題で申し訳ございません。田中さんからお願いします。

[田中秀一氏・読売新聞医療情報部長]
 難しいんですけど、「がん対策基本法」をつくった過程というのは非常に参考になるんではないでしょうか。やっぱりその、患者サイドの声というものを取り上げてですね、それが広がっていくという形だと思います。ですので、こういった場から発信していって巻き込んでいく、あるいは政権を巻き込んでいくという形になるのではないのでしょうか。

 ▼ うまく騙して「巻き込んで」いけるかどうか。社会保障では、国民が権利を主張する相手は「国」であって「医療機関」ではないのだが、ここが誤解されやすい。医療機関が十分なサービスを提供できない場合、医療者の労働環境などを改善せずに放置している「国」の不作為責任が問われなければならない。患者が十分なサービスを受けられない場合、「国」に対して立法不作為の違憲確認訴訟を提起できるとか、「国の不作為による不法行為」として国家賠償責任を追及できることなどを明確に規定した法律でなければ、憲法25条(生存権)の理念を具体化した法律とはいえない。

[埴岡氏・日本医療政策機構]
 ありがとうございます。長谷川さんはどのように考えられますか?


【目次】
 P2 → 「巻き込んでいく」 ─ 田中秀一氏(読売新聞医療情報部長)
 P3 → 「患者団体の統一行動が一番重要」 ─ 伊藤雅治氏(元厚労省医政局長)
 P4 → 「マニフェストに書いてもらう」 ─ 小西洋之氏(総務省)

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