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ニュース〜医療の今がわかる

「民主党のマニフェストでは医療問題を解決できない」 ─ 医療基本法シンポ

■ 「マニフェストに書いてもらう」 ─ 小西氏
 

[小西洋之氏(総務省)]
 皆さんが穏やかなことを言うのでちょっと違ったことを言うのは辛いんですけども、現役の官僚、"制度屋"としての観点から言うと、こういうのはやっぱり、ある政局の局面によって一気にできることってよくあるんですね。
ですので、次の局面といえば参議院選挙なんですよね。民主党のマニフェストでは、残念ながら医療問題を解決できないんですよね。
 そうすると、解決できないことについて、世の中でいろいろ声を上げて、申し訳ないですけど、メディアがですね、「民主党の医療制度はどうなっているんだ!?」と言えば、民主党のほうも選挙に負けるわけにはいきませんから、選挙の公約に、マニフェストに、「医療基本法」の成立を掲げるわけですね。(中略)自民党の時はもっと自由に言えたんですけども、こういうことをやっていくということはあり得ると思います。以上です。

[埴岡健一氏(日本医療政策機構理事)]
 なるほど。これは......、あれですね、もう一巡か、もう少し話したほうが良さそうですね。長谷川さんのところの勉強会、私もお手伝いしているんですけども、そこの第4回の勉強会で、自民党、民主党、公明党、共産党の方が来られて......。
 自民党の方が一番......、ちょっと......、「まだまだこれからだな」という感じでしたが、民主党の鈴木寛先生は、「私はミスター基本法だ」という感じで......、えー......、党内および......、党内につなげたいという話をされていましたし、公明党はマニフェストにも入っていると。共産党ももちろん、「良いことをやるのは賛成だ」と。
 若干、自民党が、「党内はまだ議論が進んでいないので」という話で、じゃあ、民主党、公明党からも自民党を孤立させないように、足元を合わせて、ペースを合わせて、遅れる人が出ないように進めましょうという話になって、それを、傍聴に来られたマスコミの方は「ここまで合意がくれば政権交代後に速やかに進むのではないか」という議論もあったのですが、ところが新政権になって......。

 その時はですね、「超党派で議員立法しようよ」ということが基調になっていましたが、新政権が「議員立法はまかりならない」ということを言っていることもあり、でも、野党になったところの議員立法権を阻害できるわけではなく、どうなるんでしょうか、伊藤さん、どういうふうに見ていますか?

[伊藤雅治氏(元厚労省医政局長、全国社会保険協会連合会理事長)]
 先ほど、「患者団体、市民の働きかけ」と申し上げましたが、それは私は非常に重要だと思いますが、もう1つは先ほど小西さんが言われたようにですね、メディア対策ですね。
 それから、もう1つは医療提供者、医師会や病院団体がやはり「必要だ」ということを言う必要があるし、それから、やはり行政。今、役人があまりその......、「政治主導で役人は黙ってろ」というふうになっていますけども、やはり、そこはですね、きちっと医療政策の立案者がこういうことをきちんと勉強してですね、そしたら政務三役に働きかけて実現していく。
 つまり、それを言うとですね、東大HSP(東京大学医療政策人材養成講座)の4つのステークホルダーになっちゃうんですが、メディアと医療提供者と患者団体と、それから政策立案者。そういう人たちの共同作業が一番重要じゃないかなと思います。与野党に対してですね。

[埴岡氏(日本医療政策機構)]
 なるほど。新政権、与党に働きかけるというのを、もちろん、周りからも伝えていくということでしょうか。えっと......、「がん対策基本法」もですね、あれは医療法改正というところの大げんかの中で、"のりしろ"として通るということだったので、政策が大きく揺れ動いて波風が立っている時に、大きいものが通るかもしれないということはよくあることかもしれません。

 ▼ 政権交代後のドサクサを利用しようということ。

 小西さん、言いかけたついでで、もう一言、ズバリ、最......、「ベストシナリオ」はどういうふうなことを思っていらっしゃいますか? (会場から笑い声)

[小西洋之氏(総務省)]
 できれば、一刻も早いほうが......、(医療基本法は)必要ですので、次期通常国会ですか、残り2~3か月の間に一気に行けばいいんですけどれも、それが無理でも、一番技術的なのは、参議院選のマニフェストに民主党なり、最大野党の自民党のマニフェストに書いてもらう。
 書くときには、患者の立場、あるいは医療提供者の立場、あるいはメディアの立場、それぞれのステークホルダーの中に、「(医療)基本法」の具体的な必要性のイメージを、ぼんやりでいいですから、イメージをみんなで共有するようにする。そういうマニフェストの記載が整えば成立は現実化すると思います。

[埴岡氏(日本医療政策機構)]
 そうしますと、マニフェストに全党、書いてもらって合意してもらうというド真ん中の打ち込み、プロセスというのが見えてきたわけですけれども、それを盛り立てていくいろいろなセクターの、働く、協働プロセスも必要だと思います。(以下略)
 

  
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【目次】
 P2 → 「巻き込んでいく」 ─ 田中秀一氏(読売新聞医療情報部長)
 P3 → 「患者団体の統一行動が一番重要」 ─ 伊藤雅治氏(元厚労省医政局長)
 P4 → 「マニフェストに書いてもらう」 ─ 小西洋之氏(総務省)

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