「がん治療認定医」を知ってますか?―専門医ではない、がんのよろず相談窓口ドクター
■広告や実力の差に課題
土屋院長は「患者さんがこの病院に認定医がいると分かって来ることができるように、広告をさせてもらいたい」と話す。現在、医師の資格として広告できるのは、一定の条件を満たした学会の専門医資格のみのため、がん治療認定医を広告することはできない。"よろず相談窓口"であるならば、どこに認定医がいるか分からなければ患者側には伝わらないということだ。
一方で認定医資格を取得した医師からは、「認定医は実力に差がありすぎる。合格率が90%近い医師の認定資格なんて、アメリカではありえない」、「日本癌治療学会が、日本外科学会との専門医制度を巡る紛糾の末に負けた結果できた制度で、従来型の日本の専門医制度を残したい方々の思惑でできたようなもの。この資格を持っていても、標準治療を熟知しているとは言えない」という厳しい指摘も聞こえてくる。
土屋院長も、認定医の評価など今後の方向性には課題が山積しているとして、「ゴール設定や、評価する指標はとても難しい」と言う。"相談窓口"の役割を果たすためにも「患者さんとのコミュニケーション力が大事。研修でそういう実技トレーニングも必要」と話す。
報告会で西山理事は次のように締めくくった。「いまだにがん治療認定医は広く認識されているわけではありません。こうした制度が日本でちゃんとできているということを国民の皆様に知って頂きたいと思います。がん治療の本当のチーム医療ができているか。医療のボトムアップにどれだけ役立っているか。『非学会』と(同機構は)なっているが、その透明性はどうなっているか。他のがん専門医制度と共にある制度となっているが、上に立つ専門医制度はどうなっているか。そことどう関連を取っていくべきかということについても皆様からご意見を頂きたいと思います。こうした養成制度は、実は時間をかけてじっくりとやっていくべきこと。ただし、今までの怠慢がありましたので、がん治療には国民の皆様から厳しい意見をいただいています。ちゃんとしたビジョンをもって最も効率的な方法で教育していく、そのアプローチがこの認定医制度だと考えています」