必要なワクチンの定期接種、実現しないのはなぜ?-議員と患者会が勉強会
■議論せず副作用の責任追及から回避
[薗部氏]
やりたいけれども反対意見の人もいるし、と動けなかった。何かあると厚労省の責任になってしまいますから。厚労省としてみれば、私の考えで言えば、仕事量は増えるわ責任は取らされるわ、いろんなことでやりたくない。歴史的なことをご存じでない方もおられる。2年ごとで入れ替わってしまいますから。
[田中美紀・細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会代表]
昨年、同じようにこちらの国会の方に私達はお伺いして、同じ内容の署名を提出させて頂きました。その時には審議もしていただけなかったです。議論はできる状況にまだなっていないと。そういうことですよね。ワクチンの予防接種の事を考える土俵すらまだできていないというのが日本の現状と考えて頂けたらと思います。
[山口議員]
そういうレベルだというのは分かりました。
[吉田統彦衆院議員(民主)]
副作用のことですけども。(細菌性髄膜炎のワクチンについては)国が強制的に接種させるようになることが一番だと思うんですけど、どれぐらいのデータがあるのでしょうか。義務化する場合には副作用関係など、極めて大事だと思うのですが。細かいものがあれば。
■「副作用」報告ではなく「有害事象」報告なのに
[薗部氏]
ここに関しては厚労省は少なくとも定期接種ワクチンに関しては集めています。ここが問題ですが、去年のインフルエンザワクチンで「120例の副作用報告があった」ということで出ていますが、「副作用報告」という言葉が間違い。本当は「有害事象報告」。お分かりですよね。打った後で起こった悪いこと、みんな本来は有害事象として集めるべきなのに、厚労省はあえて副作用報告という名前を使っちゃうんです。そういう「有害事象報告」という言葉がないから、国民の皆さんはみんなああいう記事を見れば「ワクチンが悪いんだ」と思ってしまうと思いますが、いずれにしろそういうデータに関しては、みんなそれなりに集めています。
ヒブワクチンに関しては、これが本当にやれるかどうかという時に、日本の独特の基準をこれから設けると思いますが、そのために今、副作用調査をやっています。何千名という方のデータを見て決めるということですけども、問題はその後。当然ゼロではありませんから。我々が言う、真の副作用はゼロではないんですが、それが一例でもあったら認めないという方針でするのか、「他のワクチンでもこの程度起こるんだから認める」という世界のやり方でいくのか、というのが問題になっています。
[武内一・細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会代表副代表(佛教大社会福祉学部社会福祉学科教授、小児科医)]
アメリカのワクチン被害の実情については、10年間で年間800万人ほど打っていて、補償対象になったのは一ケタというのが実情です。ヒブワクチンというのは極めて安全性が高いというのはご理解いただけると思います。アメリカの三種混合は日本のワクチンとは違って、言い方は悪いですが、質の悪いワクチンを貧しい人たちには打つというやり方をやっている国ですので、そういう意味では三種混合の被害の数は多過ぎますが、日本の場合は極めて安全性が高い。ヒブは安全性が高いとご確認いただければと思います。
■無過失補償、免責制度を国がやるべき
[福田衣里子衆院議員(民主)]
副反応に関してはきちっと調査した方がいいと思うんですが、ゼロということは決してないわけですから。定期接種にすると国は厚労省は責任を負えという恐怖心があり、企業もそうでしょうし、お医者さんとしても任意だったら勧めにくいから定期接種にしてもらえればとか。そういう副作用に対する訴訟リスクへの恐怖、逃げという姿勢がシステム的にあると思う。無過失補償や免責制度をきちんと作って、ことを行っていかなければ、副作用がゼロということは絶対ないと思うから、国としてきちんとやっていかなければいけないのではないかなという風には思います。