再開した中医協、新体制でも従来路線か
「私の身分は日本医師会に所属する日本医師会の会員。日本医師会も可能な限り私をバックアップする」─。1か月ぶりに再開された中医協で、新任の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が力強く言い放った。厚生労働省の担当者が資料をダラダラと説明する議事運営も従来通りで、中医協の位置付けも変化がない。1人気を吐いたのは新任の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)だけだったと言うべきか。(新井裕充)
今月1日で任期が切れた診療側委員6人のうち、日本医師会(唐澤祥人会長)の副会長や常任理事ら「日医執行部」の3人を外すかどうか、さらに11の病院団体でつくる「日本病院団体協議会」からの推薦枠2人を維持するかどうかなど、水面下の攻防で紛糾していた中医協人事が26日に決まった。
これを受け、新体制の中央社会保険医療協議会(中医協)が10月30日午前9時過ぎから、東京都千代田区の九段会館で開かれた。2010年度の診療報酬改定に向け、新体制の中医協がどのような議論を展開するか─。
午前6時過ぎから傍聴希望者が長い列をつくり関心の高さをうかがわせたが、多くの期待を裏切る結果に終わったかもしれない。
新人事では、日医の影響力を排除するため日医執行部の3委員を外し、その枠に京都府医師会副会長、茨城県医師会理事、山形大学医学部長が入った。
しかし、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は次のように述べ、日医が集計・分析したデータなどを中医協に提出する意向を示した。日医の影響力は今後も継続するとみられる。
「私の委員会における立場は何なのかは(委員の)皆さん方も、マスコミの皆さん方も、宙ぶらりんで訳の分からないことになっているという理解があるのかもしれないが、1つだけ明らかにさせていただきたい。今回の政権の方針でもあり、私は日本医師会の執行役員としてここに選任されているわけではない。しかし、私の身分は日本医師会に所属する日本医師会の会員でございます。日本医師会も、基本的には記者会見で申し上げている通り、可能な限り私をバックアップするということになっている」
【目次】
P2 → 「中医協が生まれ変わらなくてはいけない」 ─ 嘉山委員
P3 → 「私の身分は日本医師会に所属する会員」 ─ 安達委員
P4 → 「現場主義を大事にしたい」 ─ 足立政務官
P5 → 「先生方に日本の医療の未来がかかっている」 ─ 山井政務官