必要なワクチンの定期接種、実現しないのはなぜ?-議員と患者会が勉強会
[薗部氏]
ヒブ菌の場合、普通の人は1-5%ぐらいが喉にいるんですね。ところが例えば、一人髄膜炎が出たとして、その保育園を調べると25%ぐらいがその菌を持っているということも分かっていて、保育所はうつしやすいと理解しています。
■任意接種と定期接種で補償額に4000万円以上の差
[武内氏]
肺炎球菌は保育所に行くと、3か月の間で基本的に全員持ちます。さきほど「ロシアンルーレット」という話もあったが、基本的に弾は常に込められている状況で、引き金を引くかどうかといのが現実の状態。補償の件で補足ですが、定期接種では亡くなった場合は5000万ぐらいの保証ある、PMDAの生物由来製品感染等被害救済制度という任意接種にとどまるものだと700万円足らずと。医者にしてもも何かあった時にご家族へのそこのお金の違いも、任意接種が進みにくいブレーキになっているところもあると思う、ご家族も「国は定期接種は大事だから補償をちゃんとするんだ。任意接種はどちらでもいいから補償も少ないんだ」と理解しかねない現実もありますね。そこも事実は全然違うわけですから、今の仕組みとしてないわけではないですが、現状でいれば、定期接種に入れないと問題として越えられないところもあります。
[橋本議員]
健康保険に入らない理由っていうのはあるんですか?
■予防医学を保険で認めない厚労省
[薗部氏]
日本の厚労省の基本的な政策は予防医学は認めない。健康保険には認めない。かかった後にしか認めない。ですから、他の予防的なことに関しても、まったく認めていないこともないんですが、現実的にはまったく認めないと言ってていいぐらいしかない。本当に日本の医療費を抑えるんだったら今やっているような「腹囲が85センチ」とかいうものではなく、本当に意味のあるこういうものに関して健康保険でやれるようになれば医療費がかなり浮くようになってくると思います。
[橋本議員]
経済性ということで説明がありましたけれども、ワクチンを導入しないで医療費がかさむ。もし導入しなければこういう病気になり、その機会損失の費用と。
[薗部氏]
不幸な目に遭っているとか質の面は考えていない。単純にお金で換算できるだけでこうなっている。
(中略)
[薗部氏]
輸入量を増やすと言っても、日本用のワクチンは特別品質基準ででフランスで作っていますから、その輸入を急激に増やすということはできない。来年7月位までには、300万本ぐらいいきそうだということで、物理的にはどうにもならない。
[武内氏]
そこも日本のダブルスタンダードの中で決まっている。「守る会」でもワクチンを待っているのに、髄膜炎にかかっちゃうという現実があるんです。ここにはいろんなやり方があるんではないかと思います。今回の新型インフルエンザワクチンについても緊急事態という対応だったと思う。ワクチンがあって打っていたら助かるのに、助からない現実がある。審査の過程自体をもうちょっと考えていただいて、軽微な問題点を積み残したとしても、早く入れることのメリットの方がはるかに大きいわけですから、そこを皆さんからも後押しして頂いて、厚労省にもそこの情報開示をしてもらって、「国民はそこに納得するよ」という後押しをして頂くということも皆さんにしていただきたい。
[小池晃参院議員(共産)]
エンドトキシンの量(注)とかは臨床的には問題ないわけでしょう?
(注...エンドトキシンの量...2003年に日本で申請されたヒブワクチン「アクトヒブ」は、承認されるまでに約4年もかかった。その理由の一つに、ワクチンに含まれているエンドトキシンの量について、日本はWHOよりも少ない基準を定めていたことがネックになっていたと言われている)