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ニュース〜医療の今がわかる

「誘導するデータを厚労省は出してはいかん」 ─ 実調めぐり火花

■ 「平均値より上にたくさんのプロットが落ちるのでは」 ─ 安達委員
 

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 まずは、(調査)客体にバイアスがかかっているかどうか。客体選定そのものにバイアスがかかっているかどうか。それは、客体に選んだ個人医療機関の月間のレセプト枚数を全部調べていただければ分かると思います。

 法定の公的な価格の中で診療をやっておりますので、基本的には個人医療機関の収益というのは、レセプト枚数とほぼ相関いたします。だから、その辺の枚数のグループをどんだけ選んだのか、これがまず、選定の所でのバイアスのかかり具合というものを見る指標になると思います。

 2番目です。回答を寄せた個人医療機関のいわゆる総診療報酬、6月単月で結構ですが、1か月の総診療報酬。それを、回答を寄せた医療機関ごとのレセプト枚数で割ってください。そうすると、その医療機関のレセプト1枚当たりの点数が出ます。それを、その個人医療機関のそれぞれの標榜診療科のレセプトの平均点数と比べてください。この平均点数は......。
 厚労省の指導要綱の中にある高点数指導としての集団的個別指導で、この医療機関を拾い上げるために、各都道府県で、それぞれの都道府県のそれぞれの診療科の1枚のレセプト当たりの平均点数と比べて高い医療機関を選び出して、その上位8%を指導対象にするということになっているわけですから、旧社会保険事務局、現在は地方厚生局に移管していると思いますが、そこに必ず、データはあります。

 これをやっていただきたい理由は1つでありまして、バイアスのかかっている特殊な医療機関は当然、統計から外さないと平均値に影響を与えるということでございます。
 何を申し上げているかと言いますと、かなり基幹的な役割をしている医療機関で勤務しておられた先生が、高い診療技術を持って開業される。例えば、重症の潰瘍性大腸炎における血漿交換療法等々でございます。そういう所には、必要な患者さんが集中されますし、その技術点数は高いですから、平均に比べて1枚当たりのレセプトの点数がかなり高くなると思う。統計学的な処理によって中央値から大きく外れるものは統計の処理から除外しないと、「正確な実態調査」と言うならば、正確なデータが出ないだろう。

 最後です。3点目でございますが、各都道府県の社会保険(診療報酬支払)基金の審査委員会、国保連合会の審査委員会、ここにはその都道府県の個人医療機関の各診療科の1か月の総請求点数というものがデータとしてあるはずです。それがなければ、「メディアス」(medias、医療費の動向)が作れないと思いますので。
 もう一方では、それぞれの審査委員会には、それぞれの個人医療機関の診療科ごとの請求をしてきている医療機関総数も分かるはずでございます。各都道府県の個人医療機関のそれぞれの診療科の総請求点数を、請求をしている医療機関の総数で割ってください。平均が出ます。それと、今回(の実調で)回答した50%の医療機関の収益とを比べてください。プロットしたときには、平均値より上にたくさんのプロットが落ちるのではないか。

 「エビデンスを出す」ということは、そういうことでございます。ここまで本当はやらないと、医療機関経済実態調査というのは、「実態調査」ではないのではないか。なぜ、我々の感覚とこんなにズレるのか。これは、今回だけではございません。ずっと以前からそうでございまして、いわば我々、個人医療機関はもう、半ば諦めているというか、また、この、訳の分からない実態と乖離した数字が出たという印象を持ちながら、この発表を常々眺めているわけでございます。

 しかしながら、この数字がこれから、特に今日の初・再診料もそうでしょうが、診療報酬点数の配分を決めるときに大きなベースになる可能性がありますので、そうであれば、どれぐらいのバイアスがかかり、実態はどうなのかということが分かるようなデータにしていただかないと議論できないのではないかと思っています。それが、私の見解でございます。


 【目次】
 P2 → 注目される西澤委員のスタンス
 P3 → 「実態と離れている」 ─ 嘉山委員
 P4 → 「日医としては勤務医の給与が低いと思っている」 ─ 安達委員
 P5 → 「回収のバイアスがあるのではないか」 ─ 安達委員
 P6 → 「平均値より上にたくさんのプロットが落ちるのでは」 ─ 安達委員
 P7 → 「2号側全体で統一はなかなか難しい」 ─ 西澤委員
 P8 → 「誘導するようなデータを出してはいかんよ」 ─ 嘉山委員

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