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「誘導するデータを厚労省は出してはいかん」 ─ 実調めぐり火花

11月6日の中医協2.jpg 「誘導するようなデータを厚生労働省は出してはいかん」「回収のバイアスがあるのではないかというのが我々の印象」─。新体制の中医協で、厚労省が劣勢に追い込まれている。窮地を救うのは、診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)か、それとも邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)だろうか。(新井裕充)

 2010年度の診療報酬改定に向けて厚労省は11月6日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の基本問題小委員会を開催した。
 周産期・救急医療に関するヒアリングでは、医療現場の疲弊を訴える声が相次いだ。午前9時の開始から約2時間半が経過して、ようやく同日のメーンテーマである「初・再診料」の審議に入った。

 「初・再診料」は、病院と診療所の配分をめぐる議論の核心部分であるため、新体制の中医協がどのような議論を展開するかが注目された。厚労省は、病院勤務医と開業医の平均給与などを盛り込んだ「医療経済実態調査」(実調)を10月30日の中医協で提示。翌日の新聞には、「開業医の年収、勤務医の1.7倍」などの見出しが躍った。

 厚労省と支払側委員、さらに遠藤会長は「勤務医の負担軽減」や「病診格差の是正」を進めるため同調査のデータを診療報酬改定の基礎資料にしたい意向だが、開業医を中心に組織する日本医師会(唐澤祥人会長)は同調査データを利用することに強く反対している。しかし、中医協委員の改選で日医執行部が外れた。
 このため、次期改定に向けた初・再診料の審議は実調のデータを前提に進むかに思えたが、新任の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が同調査を激しく批判、次回以降に改めて審議することでひとまず"初戦"を終えた。


【目次】
 P2 → 注目される西澤委員のスタンス
 P3 → 「実態と離れている」 ─ 嘉山委員
 P4 → 「日医としては勤務医の給与が低いと思っている」 ─ 安達委員
 P5 → 「回収のバイアスがあるのではないか」 ─ 安達委員
 P6 → 「平均値より上にたくさんのプロットが落ちるのでは」 ─ 安達委員
 P7 → 「2号側全体で統一はなかなか難しい」 ─ 西澤委員
 P8 → 「誘導するようなデータを出してはいかんよ」 ─ 嘉山委員

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