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ニュース〜医療の今がわかる

「誘導するデータを厚労省は出してはいかん」 ─ 実調めぐり火花

■ 「2号側全体で統一はなかなか難しい」 ─ 西澤委員
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。白川委員のご質問に対して......。まず、「日本医師会として医療経済実態調査を分析した結果なのか」というお話ですが、それは文書にしてお送りするということ......。(白川委員がさえぎる)

[白川修二委員(健保連常務理事)]
 いえ、私が質問したのはそうではございませんで、前回までは日本医師会が見解を出しておりましたが、今回は、今日、(嘉山委員から)頂いたこれが、診療側の意見......、「これだけですか」、「これ以降はないんですか」ということを......。(遠藤会長がさえぎる)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 ですから、ですから、ですから、それについては、先ほど安達委員からご発言があったので、それ以降どうされるかというのはまだ......。つまり、2号(診療)側委員としてどうするのかということについては......。

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 日本医師会が、これ(医療経済実態調査の分析)を(支払側委員らに)お送りしますので、後の議論の時にこのデータが必要な場合には、私がこれを使って(意見を)申し上げる場合もございますでしょう。

 それとは別に、地域の医師の実感として、今の(検証)データの必要性も申し上げました。それについても、やはり、そういう意見を申し上げさせていただくことになると......。(遠藤会長が割り込む)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 後者の「代表性」の問題については、ちょっとまたやりますので、まず前半として、白川委員のご説明、つまり、それについてどういうふうに2号(診療)側が対応するのかというご質問でありますので......、西澤委員がまずお手を上げましたので、どうぞ。

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
 (白川)先生あの......、今回の(医療経済実態)調査に対するコメントをどうするかということでよろしいですか?

[白川修二委員(健保連常務理事)]
 はい。

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
 2号(診療)側全体で統一はなかなか難しいので、「それぞれ」ということになります。私たちのほうでは、(日本)病院団体(協議会)としてまとめて出すことを予定しております。今、相談中でございます。

 ▼ 診療側の病院団体枠は、11の病院団体でつくる「日本病院団体協議会」(日病協)の選挙で上位2病院のトップから選出される慣例があるが、今回の中医協人事でこれが廃止されそうになった。関係者の間では、日病協の2人枠を死守した殊勲者は医療課であるとの声がある。中医協人事は「日医執行部外し」で難航したのではなく、実は「日病協外し」が原因だったとの見方もある。このため、「医療課に足を向けて寝ることができない」などと言われる日病協推薦の西澤・邉見両委員が、中医協で厚労行政に逆らう意見を述べることは考えにくい。現在、西澤委員は半ば黙秘を決め込んでいる。
 今後、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が開業医(日医)の立場を代弁し、嘉山委員が特定機能病院(大学病院)の立場で主張した場合、中小病院の意見を誰が代弁するかが問題となる。現在のところ、その役割を新任の鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)が担っている。そこで、西澤委員は今後どういうスタンスを取るか。
 関係者によると、病院団体の間で合併案が浮上している。最大規模の日本病院会(山本修三会長)は、厚労省との密接な関係を維持して強い影響力を持っているとされるが、幹部の高齢化で機動力が低下するなど会員離れで弱体化。これに対して、民間の中小病院が加盟する全日本病院協会は、西澤会長の"政治力"で勢いを増しているとの見方もある。今年8月現在、日本病院会の会員数は2644病院、全日本病院協会は4月現在で2272病院、日本医療法人協会は同1293法人。もし、全日本病院協会と日本医療法人協会が合併すれば、国内最大規模の病院団体が誕生する。
 今回の中医協人事で、日本医療法人協会は副会長の鈴木委員を送り込むことができた。このため、全日病と合併する必要性は乏しいかもしれない。むしろ、存在感のある鈴木委員によって会員数の増加が期待できるのではないか。今回の中医協人事は、病院団体間のパワーバランスに大きな影響を与えたという側面もある。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 ありがとうございます。渡辺委員、どうぞ。(中略)

 ▼ 日本歯科医師会で分析した結果を提出するとの回答。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 そういう回答で結構でございますか?

[白川修二委員(健保連常務理事)]
 はい、結構でございます。

 ▼ 満足した様子。1号(支払)側としては、2号(診療)側にまとまってもらっては困るだろう。それにしても、全日本病院協会という団体は、一体誰の利益のために動いているのだろう。厚労省に与すればするほど、中小病院の利益を守れないことは明らかだろう。厚労省は中小病院を減らしたいのだから。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 それで、安達委員から別の提案が出されているわけでして、これについて少し皆さんのご意見をお聞きしたい。「医療経済実態調査」について、前回(ママ)は診療所についても、「医療法人」というものを別途集計することにしたわけですが、安達委員の周辺情報からすると、実態と乖離していると。
 しかも、医療法人の場合はどちらかと言うと、収益の多い所が医療法人になっている可能性があるので、「代表性に問題があるのではないか」ということで、代表性を見る上でいくつかチェックをしてほしいという提案が出されたというわけです。

 それについて、そういう視点で......、これは今後、事務局(保険局医療課)の作業になるかもしれませんが、そういうことをやる必要があるかないかということについて、お諮りしたいと思います。そういう対応でよろしいですね?

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 ありがとうございます。それで結構でございます。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、白川委員、どうぞ。


 【目次】
 P2 → 注目される西澤委員のスタンス
 P3 → 「実態と離れている」 ─ 嘉山委員
 P4 → 「日医としては勤務医の給与が低いと思っている」 ─ 安達委員
 P5 → 「回収のバイアスがあるのではないか」 ─ 安達委員
 P6 → 「平均値より上にたくさんのプロットが落ちるのでは」 ─ 安達委員
 P7 → 「2号側全体で統一はなかなか難しい」 ─ 西澤委員
 P8 → 「誘導するようなデータを出してはいかんよ」 ─ 嘉山委員

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