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ニュース〜医療の今がわかる

病院と診療所の外来は「同一の医療サービス」? ─ 再診料の議論開始

■ 初・再診料で3つの論点を示す ─ 厚労省
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 (医療経済実態調査について次回以降に審議することを合意した後)それでは、事務局(保険局医療課)から(初・再診料の)資料が出ていますので、それについて、もし説明が必要であれば簡略にお願いしたいと思います。

 ▼ 「もし説明が必要であれば簡略に」とくぎを刺したところがポイント。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 はい。これまでと同様、「中医協 診─2」という本体の資料と、それに参考資料が付いております。ご記憶の通り、初・再診料に関する話は今年の春ですけれども、一度やりましたし、それ以前、昨年もやっておりますので、それからの変更点や変更点はないけれども重要だと思われるところに絞ってお話をします。(中略)

 ▼ なぜ、「重要だと思われる」という考えに至ったのか、その理由に絞って説明してほしい。最初に数字やグラフなどをぐだぐだと説明するのがよくないのか。順序を逆にして、最初に「論点」を示してはどうか。「3項目の論点」と「22枚のスライド」との対応関係を示さないから分かりにくいのかもしれない。

 最後に、「論点」になりますけれども、今申し上げましたような病院と診療所の役割分担がある中で、初・再診料というものが時代的な変遷をたどってきているわけですが、これについてどうお考えいただくかということです。

 それから、各診療科が担う役割と初・再診料における評価、これについてどう考えるか。それから、ちょっと説明の順番とは逆になりましたが、外来管理加算について、診療報酬上の評価をどう考えるかという3点をとりあえず書いております。以上でございます。

第4 論点
1 病院と診療所の役割分担と初・再診料における評価について、どう考えるか。
2 外来管理加算について、診療報酬上の評価をどう考えるか。
3 各診療科が担う役割と、初・再診料における評価について、どう考えるか。
 [遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。それでは、ただ今のご報告に関連してもしなくても結構でありますので、初・再診料に関するものであれば結構ですから、ご意見、ご質問ございますでしょうか。(30秒間、沈黙が続く) はい、邉見委員、どうぞ。

 ▼ これまでなら、すぐに「藤原委員、どうぞ」となるはずだが、委員らはみな資料に目を落としたまま沈黙が続いた。30秒が経過して、ようやく邉見委員が挙手した。厚労省の意向に沿った発言が含まれていることが多いので注目。

[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]
 前から時々言っているんですが、複数科受診ですね、再診料の中の。病院というのは、大勢の多数の診療科がありますね。例えば、指を切った人が来て外科で診た。その後、何か胸が苦しいからと言って、循環器内科に行った。2つ目の所(診療科)は、カルテを作って診察もしたけれども、何ももらえないという場合があるわけですね。

 これ、気の利いた人だったら、心電図を撮ったり何かするわけですが、もう忙しいから、「それは血を見てドキドキしているんだろう」と言って帰してしまって、その方が不幸にして心筋梗塞であって自宅で死んでしまった。極端な例ですよ。これはあった話じゃないですけど。
 訴えられたら、病院は負けます。お金をもらっていない人にお金を払うことになりますね。こういうことは非常に科学的な根拠のない、エビデンスに基づかない医療費抑制策のための診療で、循環器の先生、ほかの、例えば、小児科と皮膚科とか、耳鼻科と小児科とか、一杯あるわけですね。これをぜひ、考えていただきたいと思います。

 ▼ いつもながらうまいと思う。医療費抑制策への批判がメーンの発言に聞こえる。厚労省としては、診療科ごとに点数格差を付けて、「自由開業制」を実質的に規制していく狙いがあるのだろう。臨床研修制度や研修医の計画配置にも関連する論点。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい。初診料については、複数科受診した場合には、前と比べると減額されましたけれども付く。再診料については、付かないという理解でよろしいわけですね。それはだから、「適切ではないのではないか」というご意見でございます。(中略)

 ▼ この後、支払側の勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)が今後のスケジュールについて質問。佐藤課長は次のように回答した。
 「前回、遠藤会長から『こういう項目を議論してはどうか』というメモを頂きましたので、そのメモを残りの期間、ずばり申しますと、改定率が出るような時期までに一通り議論いただきたいと思いまして、ざっとカレンダーをにらみながら(水・金の週2回)やりますと、12月18日の金曜日までの間の水・金をほとんど全部潰して、それで少なくとも、(メモの22項目のうち)どんな項目も1回はやるということで当てはめています」
 佐藤課長はまた、「遠藤メモ」の22項目のうち、入院基本料や産科・救急など重要な項目は2~3回議論する意向を示した。

 (スケジュールの説明を受け)......ということであります。皆様方のご要望、よく分かります。例えば、「初・再診料の話は何回あるんだ、今回が最後なら今言っておかなきゃいけないではないか」という議論ですよね。

 しかし、重要性のばらつきもありますので、少し私のほうでも考えさせていただいて、(12月18日まで)残っている枠はそれほどないので、(水・金に)どう貼り付けたらいいのか、ちょっと事務局(保険局医療課)と相談して原案を練ってみたいと思います。
 ある程度まとまった段階で皆さんにそれをお見せするという形になります。当初の予定よりも多少、後ろに押していますので、当初の予測よりも多少不確実にはなりますが、そのような対応をさせていただきたいと思います。白川委員、どうぞ。(中略)

 ▼ 「論点」について白川修二委員(健保連常務理事)が「もう少し踏み込んだ書き方をしていただかないと、また最初から始めることになる」などと要望したが、遠藤会長が「読めば何となく分かる」と返した。


  【目次】
 P2 → 同一の医療サービスといえるか
 P3 → 初・再診料で3つの論点を示す ─ 厚労省
 P4 → 「低いほうを高いほうに合わせる」 ─ 鈴木委員
 P5 → 「病院の再診料が100点でも病院集中は止まらない」 ─ 安達委員
 P6 → 「同一の医療サービスを受けた場合は同一の料金」 ─ 白川委員
 P7 → 「格差の理由が議論の出発点として必要」 ─ 安達委員


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