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ニュース〜医療の今がわかる

チーム医療 「分数できない子が来るのに、質を担保できるか」

 「志と気概なんかない。行く所ないから来ちゃったという子ばかりだ」。8日の『現場からの医療改革推進協議会』で、シンポジストとして登壇し、理学療法士の養成課程を大学化することを求めた半田一登・日本理学療法士協会会長から、専門学校に関する衝撃の"実態"が明かされた。(川口恭)

 嘉山孝正・山形大医学部長
「色々な所で修士だとか6年だとか言っているが、あれは教える方も教わる方もバカだからそういうことを言っているんで、知識というのは毎年変わる。前と変わったからといっても、日常の診療の中で使っている知識というのはそんなに多くない。3年制を4年制にすればいいかというとそんなことではなくて、教える方も、きちんと原理をやらないと。教育というのはスパイラル。エンサイクロペディアのように年々厚くなるような暗記物で教えられる、そんな教育というのは10年やっても20年やっても30年やっても40年やっても何の意味もない。日常使う知識なんてそんなにない。私が知っている頭痛の薬は6つ位。薬は凄いいっぱいあるけど、それをいかに原理原則で使っていくかという思考を教えればいい。これは団塊の世代は大体持っている。子供の時に野山で遊んで痛いとか汚いとか感性で分かっているから。(中略)何年増やしたって、教え方がちゃんとしてなければスパイラルにならない」

(中略)

 和田仁孝・早稲田大学法科大学院教授
「医学教育の中身は分からないのだが、6年とか修士にしていくのは賛成で、しかしマスコミも含めて袋叩きに遭うというのは、背景に患者の側から見て、そんなに年限を増やしても本当にちゃんとした医療者になるのかという疑念があると思う。そのためには、まさに教え方の部分にメスを入れないと。年限とか量の問題ではないのだろう。そこの部分をアイデアで出していかないと、なかなか納得は得られないだろう」

 鈴木寛・文部科学副大臣
「私も文科系だけれど教えている。プロジェクト・ベイスド・ラーニングとかOJTとかが圧倒的に重要で、しかしそこの所を教えられる教官がいない。今の教育学部は全然ダメ。だから別途新しい組織を作って、プロジェクト・ベイスド・ラーニング、OJTというものを、今の本だけ読んでいる教育学部の教授じゃなくて、名物教科指導、要するに名医をやった人たちのプロフェッショナルスクールというものはそういうために作られたということの理解を進めていくことが重要。

それから、learn how to learn 学び方を1回学んでしまえば、恐らく学問を越えても応用可能で、ひとえに教官の資質次第という話だ。教育というのは本来ものすごく面白い仕事だと思うが、しかし専門職大学、専門職教育においてモチベートされない構造をどうしていくか」

(中略)

 半田一登・日本理学療法士協会会長
「先ほど嘉山先生から教え方の問題だという話があったが、実は専門学校は18歳人口の激減で、既に競争率はどこも0、何倍になっている。つまり願書を出したら全員入れるという状態。その状況下で何が起こっているかというと、高校の8月9月でみな専門学校を決める。そうすると高校では、お前たち邪魔だから専門学校へ行って勉強して来いという話になって、専門学校で物理を教えたり数学を教えたりしているのが現状。その子たちをどうすんのという話だ。

お前たちの教育の仕方が悪いと言われても、理学療法士の場合は卒後5年間の経験があったら専門学校の先生になっていいよというのが法律。そんなバカなことはないだろうと言っても、それは変えてくれない。臨床実務指導者は3年の経験があったらいいよ、というのがお国が決めた法律。変えてくれと言っても誰も振り向いてもくれないのが現実。どんどん医療職の質が下がっていって、チーム医療だって言われても、今年なんでジャイアンツが優勝したのか、4番バッターをかき集めても優勝できなかったのが、若い1番バッター2番バッターが育ってきて優勝できた。それなのに我々は育つようなことは何もなくて、厚生労働省に行っても何も認めてくれなくて、こういう所での発言の機会も皆無。それなのに、お前たちはああだこうだと上の方からは怒られる。

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