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ニュース〜医療の今がわかる

11月13日の中医協 (ブリーフィング)

■ 基本問題小委員会④ ─ 入院医療における多職種共同の取組み
 

[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
 今回、ポイントとしたのは1つが「栄養サポートチーム」(NST活動)の取り組みです。それに関する(近森病院の)取り組みをご紹介しました。

 さらに(聖路加国際病院の)「呼吸器ケアチーム」ということで、(人工呼吸器の管理などの)取り組みが人工呼吸器からの離脱など非常に効果を示している。そういうことで、2つの事例を示しました。

○ 論点
多職種が関わるチームによるカンファレンスや回診を行い、患者の治療・療養に対応することについて、診療報酬上の評価をどのように考えるか。
 本日出たご意見の中では、例えば、邉見先生(全国公私病院連盟副会長)は、病院の中でもいろいろなチームができているので......。

 今回は2つのチームを紹介しましたが、具体的なチームのみを(現行の)緩和ケア(診療加算)のように評価するのではなくて、病院全体の評価にしてもらいたいというご意見がありました。

 白川修二委員(健保連常務理事)からは、「何をもってチーム医療というのか、定義付けをはっきりすべきだ」という宿題がありました。邉見委員や西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)から(入院基本料の底上げなど)「病院全体に付けてほしい」という話がある中で、北村委員から「インセンティブを明確にして付けるべきだ」というご意見があったり、坂本すが専門委員(日本看護協会副会長)はナースのコーディネーターという職種があるので、その活用を図っていただきたいということで、おおむね「こういう取り組みは進めるべきだ」という意見でした。
 
 一方、嘉山先生(山形大学医学部長)から、「呼吸器ケアチーム」については、通常の業務で行うべき内容なのでチーム医療という特出しで評価すべきものなのかというご意見もありました。

 ▼ 鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)は栄養管理の重要性を指摘。「高カロリーの輸液をずっと続けるなど医師の理解がまだまだ足りない。リハビリと並んで、急性期以降の治療の中で確立していただきたい」として、「栄養サポートチーム」を評価するよう求めた。邉見、西澤両委員はチーム医療に理解を示しつつも、入院基本料を底上げする方向性を強調した。
 これに対して、支払側の白川委員は外来管理加算を引き合いに、「説明がないまま付けられる」と慎重論。診療報酬で評価すべき「チーム医療」を明確に定義するよう求めた。北村委員(経団連)も、企業の安全衛生活動がチームで行われていることを例に挙げ、現在の実施件数などを調べるよう求めた。また、呼吸器ケアについて嘉山委員は「本来、医師がやるべき仕事なのでチーム医療として認める必要はない」と反対、チーム医療の評価が無制限に広がっていくことに危惧感を示した。
 一方、コメディカル代表として参加している北村善明専門委員(日本放射技師会会長)は多くの専門職が持つ個々の技術を評価することがモチベーションのアップにつながることを指摘。施設基準などにコメディカルの名称を明記することを提案した。坂本すが専門委員(日本看護協会副会長)は「チーム医療という言葉が独り歩き」と指摘した上で、「いろいろな職種が入って効果を上げている例もあるが、認定看護師や専門看護師が横断的にかかわっていくことですごく効果を上げている。彼女たちが先生の動きをコーディネートできる」とくぎを刺した。
 なお、嘉山委員は白川委員の指摘に答える形で、「本来の業務以外の業務に携わって、それが患者さんにとって良い結果を生むならばチーム医療として認めて良い」と定義。「呼吸器管理は医師の『本来の業務』なのでチーム医療としては認められない」と改めて反対した。
 

 
 
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【目次】
 P1 → 保険医療材料専門部会 ─ 平成22年度保険医療材料制度改革の論点(案)
 P2 → 基本問題小委員会① ─ 医療機関連携
 P3 → 基本問題小委員会② ─ 入院中患者における他医療機関からの診療・指導
 P4 → 基本問題小委員会③ ─ 障害者施設等の機能分化の促進のための移行措置
 P5 → 基本問題小委員会④ ─ 入院医療における多職種共同の取組み

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