11月13日の中医協 (ブリーフィング)
厚生労働省は11月13日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の保険医療材料専門部会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)
【前回までの中医協】
○ 11月11日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月6日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月4日の中医協 (ブリーフィング)
■ 保険医療材料専門部会 ─ 平成22年度保険医療材料制度改革の論点(案)
[保険局医療課・佐久間敦課長補佐]
前回、平成22年度保険医療材料制度改革の論点(案)を示しまして、前回のご議論の中でいくつか宿題事項がありました。デバイス・ギャップの仕組みや補正加算の現状、移転価格など、データが出たものについて今回、「論点(案)」という形で整理してご議論いただいたというところです。
主に、内外価格差から、原価計算方式の移転価格の話、それから、イノベーションの評価、安定供給にかかる方策、歯科用金属材料の基準価格の随時改定、それぞれについて議論いただいたということが1点。
それと、デバイス・ギャップの話としては、前回の部会におきまして、専門委員から「なかなか現状を正確に示すのは難しい」というお話もございましたので、今回は医政局と医薬局の共同で行っている検討会における資料ということで、経済課のほうから説明がありました。
それぞれの論点における議論については、皆様方お聴きになった通り、主に内外価格差の倍率の話がございました。それで宿題事項になりますが、外国参照制度が入った時の倍率の根拠がどうだったのか、こういった話もございましたので、これは次回以降、私どものほうで確認させていただいた上で、再びご議論していただく形になると思います。
このほか、宿題事項はそれほど多くはなかったと思いますが、次回に向けて、今回議論していただいたものと、今回論点に挙がって議論いただいていないものもございますので、引き続き議論を進めていただくのと併せて、骨子案的なものを作成させていただいて引き続き議論していただく、このような流れになると思います。以上です。
▼ 同日の議論は、内外価格差が中心となった。保険医療材料の償還価格が外国平均価格の「1.5倍を睨みつつ1.7倍」としていることについて、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)は「診療報酬が厳しい中、材料価格が高いままであるのは異常」と批判。嘉山孝正委員(山形大学医学部長)も、「患者の立場から1.5倍、1.7倍は高すぎる。内外価格差の根拠を教えてほしい」と迫った。
これに対して、松本晃専門委員(前ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社最高顧問)は治験や開発コストなどを理由に、「1.0倍、1.1倍にしたら良いメーカーは日本から逃げていく。(内外価格差の縮小を)極端にやると開発できない」と反論。北村光一委員(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)も、引き下げる場合には指針や基準値が必要であるとした。
内外価格差について保険局医療課の迫井正深企画官は、「中医協の議論で決まった」とした上で、これまでの経緯や、内外価格差が徐々に是正されていることなどを説明したが診療側の理解を得られなかった。このため、小林麻理部会長(早稲田大大学院公共経営研究科教授)が「1.5倍の根拠」を示すよう事務局(保険局医療課)に求め、継続審議となった。
このほか、歯科用金属材料の基準価格について、渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事)が現行10%の価格変動幅での見直し(随時改定)を「5%」に変更するよう要望、了承された。
また、材料価格が経済状況の変化を受けることから設定されている「為替レートの平均値」の対象期間について、厚労省は「(平均値を取る)期間が長ければ変動は穏やかになる」として期間の延長を提案したが、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)が「3年は長い。企業に有利」などと反対した。松本専門委員は「どんどん下がると開発意欲をそぐ」と反論。これに北村光一委員(経団連)も、ベンチャー企業育成や日本市場の魅力を向上させる観点から同調したが、合意には至らなかった。
【目次】
P1 → 保険医療材料専門部会 ─ 平成22年度保険医療材料制度改革の論点(案)
P2 → 基本問題小委員会① ─ 医療機関連携
P3 → 基本問題小委員会② ─ 入院中患者における他医療機関からの診療・指導
P4 → 基本問題小委員会③ ─ 障害者施設等の機能分化の促進のための移行措置
P5 → 基本問題小委員会④ ─ 入院医療における多職種共同の取組み