コメディカルの確保が病院経営に大影響?
管理栄養士、診療放射線技師、臨床工学技師らの「コメディカル」は決して「小メディカル」ではないのに、病院のヒエラルキーの下では医師、看護師、薬剤師らに次ぐ位置付けで扱われることが多いと聞く。しかし、来年度の診療報酬改定によって、コメディカルの確保が病院経営に大きな影響を及ぼす可能性が出てきた。(新井裕充)
診療報酬改定を審議する中央社会保険医療協議会(中医協)では、来年4月の改定に向けた議論が急ピッチで進められている。現在は週2回午前の開催だが、午前・午後の「ダブルヘッダー」も予定しているという。
こうした中、病院関係者の最大の関心事は入院基本料の引き上げ。プラス改定がほぼ確実と言われているものの、DPC病院に導入される「新たな機能評価係数」は、大規模病院に有利な係数が設定される見通し。そこで、中小病院が期待をかけるのは入院基本料の一律引き上げ。中医協で診療側委員は、「エイヤ!で決めてほしい」などと求めている。
これに対し、、厚生労働省は入院料の資料として、「医療従事者の国際比較」などのデータを11月11日の中医協で示している。コメディカルの配置を施設基準に盛り込む方針なのだろうか。「一律に引き上げることはしない」という意向が感じられる。
一方、13日の中医協では、「入院医療における多職種共同の取り組み」について、近森病院の「栄養サポートチーム」と聖路加国際病院の「呼吸器ケアチーム」を紹介した上で、「チーム医療」の評価について意見を求めた。意見交換の中で特に注目されるのが、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)の発言。チーム医療について次のように述べた。
「急性期医療をサポートするチーム、回復期をサポートするチーム、なんでもチームなんですよ、今は。そういうことになると、そのうちの1つ、2つを取り出して評価されても、『じゃ、ほかのチームはどうなんだ』というのが出ますので、今、入院医療すべてがチーム医療でやっているということをご理解いただいて、やはり入院基本料を底上げすることによって評価することも片方で必要だと、そこら辺のバランスも考えていただければと思います」
これに対し、コメディカルの団体でつくる「チーム医療推進協議会」の会長を務める北村善明専門委員(日本放射技師会会長)は、コメディカルの個々の技術を評価する必要性を指摘した。
「今、その診療(報酬)体系が、あまりチーム医療に対する評価がなく、さらに個々の技術の評価、専門職の技術の評価がされていないということがありますので、それをどう評価していただけるかが一番問題になってくると思います」
入院基本料を一律で引き上げて、その中にコメディカルの人件費も「コミコミ」にしたほうが病院経営上は良いのか、それともコメディカルの個別の行為が診療報酬点数表に反映されたほうが良いのか─。
「チーム医療」というくくりで評価されると、一部のコメディカルに限定されてしまう。コメディカルの配置を施設基準で評価すると、「7対1入院基本料」の創設で激しい看護師争奪戦が行われた"トラウマ"がある。
なお、白川修二委員(健保連常務理事)、西澤委員、北村専門委員、坂本すが専門委員(日本看護協会副会長)の発言は次ページ以下を参照。
【目次】
P2 → 「何をもってチームと言うのか明確に」 ─ 白川委員(健保連)
P3 → 「なんでもチームなんですよ、今は」 ─ 西澤委員(全日病)
P4 → 「専門職の技術の評価もされていない」 ─ 北村専門委員(日本放射技師会)
P5 → 「認定・専門看護師が横断的にコーディネートできる」 ─ 坂本専門委員(日本看護協会)