診療報酬は破綻している ~『現場協議会より』
7日の『現場からの医療改革推進協議会』。昨日ご紹介した松田学氏の講演の前に行われた亀田隆明・鉄蕉会理事長の講演もご紹介しておく。非常に刺激的で、この2つを受けたディスカッションも面白かったので別途ご紹介する予定だ。(川口恭)
時間もあまりないので、診療報酬を中心とした現在の日本の医療はどうなっているのか、どういう問題があるのかという一点だけ話をしたい。
連合のHPを見てみると「労働を中心とする福祉型社会」と書いてある。これを我々はめざしている。
どういうものかと言うと、公正な賃金、労働時間、均等待遇など社会的基準を張り巡らせる。労災や失業、疾病などこういうセーフティーネットが組み込まれて、男女も対等な形で構成員として活躍できる機会を確保する。そして、働くものが正当に報われ、自らの仕事に誇りを持って、次の世代に受け継いでいけるような社会。仕事と生活の調和がとれた、仕事と生活の調和がとれた自らの人生観を大事にできる社会。これをめざしたいということ。そのために一つだけやらなければいけないのは、まず「同一労働、同一賃金」。これが必要。
さて、7ヵ所ある千葉県立病院の医療収益は270億円、医業費用は370億円。100億円の赤字。赤字比率が何と37.9%。千葉県は過疎地帯がたくさんあるから、きっと赤字なのだろうと東京都を見る。東京都の診療報酬収入は954億円、医業費用は1,380億円で、何と426億円、つまり44.7%の赤字がある。
これを見ればすぐに分かるように、診療報酬を30%上げても千葉県立病院も都立病院も黒字転換しない。つまり、3割診療報酬を上げて成り立たないというのは診療報酬制度はもうすでに破綻をしている。これをぜひ皆さんに理解をしていただきたい。