改定の基本方針に、「患者の負担軽減」を
■ 改定の基本方針、「患者の視点に立っていない」
[糠谷真平部会長(国民生活センター顧問)]
それでは、ご意見がおありの方、どうぞ。
[大谷貴子委員(全国骨髄バンク推進連絡協議会会長)]
私は患者(代表の委員)ですが、「患者の視点に立っていないな」と最初に直感いたしました。(診療報酬改定の4つの視点に)「がん医療の推進」ということも掲げておりますし、(改定の視点として)「患者から見て分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点」と言っていただいておりますが......。
今日の新聞です。皆様にお配りしました。カラーで刷ってまいりました。(11月16日付の)毎日新聞に出ました。
▼ 記事の見出しは、足立・白血病の長女殺害 特効薬グリベック1錠3200円、「治療に金かかる」将来悲観、母自身も乳がん手術の二重苦─で、次のように報じている。
「東京都足立区で先月、白血病の長女(当時53)を乳がんの母親(77)が殺害した事件で、長女は慢性骨髄性白血病(CML)にかかり、高額な特効薬「グリベック」を使っていたことが、警視庁竹の塚署への取材で分かった。グリベックの医療費を負担に感じる患者は7割に達することが最近の調査で判明、母親は「(自分も含め)治療に金がかかる」と将来を悲観する供述をしている。高額治療薬の負担の重さが事件の背景にあったようだ。(中略) CML患者を対象とした東京大医科学研究所の研究チームの今年8月末までの調査では、景気の悪化に伴いグリベックの費用に負担を感じる患者が急増。内服の中断や、その経験のある患者も3%いた。同研究所の上昌広・特任准教授(医療ガバナンス)は『グリベックに加え、抗がん剤による治療費が重なり、医療費の負担や将来への不安は大きかったと推測される。国が高額長期疾病に指定すれば、医療費の自己負担は原則月1万円以内で済むが、指定疾患はわずか三つだけ。グリベック以外にも患者が高額治療費にあえぐ薬は少なくない。負担軽減のためにも、こうした薬に対する国の支援体制を早急に整備すべきだ』と話している」
今年7月、舛添前大臣の時にですね、いずれこういうことが......、ちょっと殺人までは予想していませんでしたが、薬代が払えなくて、いずれ静かなる自殺が始まるだろうと予想しておりましたが、殺害が起こってしまいました。
少しでも医療費の軽減をしていただくために(8万6000人の)署名を集めたんです。私たちの署名の目的は、(配布した)新聞記事に書いてありますが、自己負担が月1万円以内で済む特定疾病(高額長期疾病)は、▽人工透析をしている慢性腎不全(患者約25万人) ▽血友病(同約5000人) ▽一部の後天性免疫不全症候群(同約100人)─の3つしかなく、選ばれる線引きも不透明です。この要請をしていました。
本当に、これだけの金額を払える人はなかなか少なくて困っております。これは白血病に限っていまして、ほかのがんの人たちも大変苦しんでいると聞いています。
私は今回、「全国骨髄バンク推進連絡協議会(会長)」という肩書きを持ってここにまいりましたので、白血病に関して言わせていただこうと思って原稿を持ってまいりました。
骨髄バンクでしか助からない命がある中、そこ(資料)にも書いてありますように、モデルケースではありますが、(骨髄の)提供者を4人検査して移植が成立した場合の費用が1人18万9000円です。
例えば32人、提供可能性のある方が見付かりました。どんどん検査していくのですが、(検査の結果)どの方も提供に至らなかった場合、金額的には莫大なお支払いをされて、残念ながらチャンスに恵まれなかった方を知っています。(移植できず)残るは費用負担だけで、ご遺族の方は大変な思いをされました。
今日は、たまたま事件(報道)がありましたし、骨髄バンクのことも皆さんにご存じいただければと思って(資料を)持ってまいりました。ぜひ、患者さんの負担軽減に関して(基本方針に)1項目を入れていただきまして、抗がん剤治療、乳がん、子宮がん、さまざまながんがありますが、そんな患者さんたちの負担軽減を提言の中に盛り込んでいただくよう、ご議論いただきたいと願っております。
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