大学病院は限界 1127中医協・嘉山委員発表
医療費を物価と比較する話もあるが、これからこれだけ需要が増えていくにもかかわらず、医療費が減っていけば現場がクラッシュするのは当たり前。この辺は社会保障審議会でやるんだろうが、我々としてもこの辺を知りながら医療費の議論をする必要がある。
これが物価と医療費の比較。バブルで物価が上がった時も医療費はその恩恵を受けていない。1981年の物価を100とすると08年は142だが、医療費は97.5。この30年で医療費の実質総額はガクっと減っているにも関わらず、手当てがされてない。医療崩壊が起きるのは当然。
医師のキャリアパスをお話しすると、まず大学生が6年間一生懸命勉強して国家試験に合格する。その後、99.9%は勤務医になってトレーニングを積む。その間、私も32歳まで非常勤で日々1000円ちょっとのお金をもらいながら高度先進医療に取り組んできた。この中のひとつでも崩れて、患者さんが全部勤務医に行ったり大学に行ったりしたら、病院が崩壊してしまう。医療はセットで考えなければならない。
大学病院と診療所の関係はこんな感じ。大体4時半か5時になると大学に一本電話がかかって、難しい患者がいるから引き受けてくれ、と。それに対して大学はほとんど断らない。昨年の東京都の妊産婦の例は、ITで探したから見つからなかった、ヒューマンコミュニケーションで探せば大学はほとんど引き受ける。
余談になるが一般勤務医の生涯所得は一流企業の社員以下であるというのは週刊ダイアモンドにも書いてある通りだ。白い巨棟のイメージは捨てていただきたい。