「正体不明」の3800億円―柔道整復師の年間保険請求額、医療費議連での議論
[国会議員]
臓器別にみた場合、「運動器」ということでお聞きしますけど、特に地方におきましては接骨院や柔道整骨院、柔道整復師のデータというのは上がっているのでしょうか。もちろん保険適用ということに関しまして。例えば一診療所当たりのデータとかいうのはお持ちなんでしょうか。
[藤野圭司・日本臨床整形外科学会理事長]
今日は柔道整復師の方たちのデータは出しませんでしたが、かなり詳しくは出てまして、全体で見ますと、整形外科のリハビリテーション、運動器リハだけでなくて脳血管など全部合わせて大体今(年間)5600億円ぐらいと言われています。それに対して柔道整復師は基本的に打撲、捻挫だけですね。そして応急手当としての骨折や脱臼、それで使われているお金が(年間)3800億円です。これは柔道整復師の方が高すぎるというのか、医師のリハビリテーションが安過ぎるのかどうだろうかと思いますが、私たちはこれでは低過ぎるのではないかと思っていますが、いずれにしろそれぐらいの差しかないです。これにはいろいろ問題があります。
[桜井会長]
これはね、レセプトのチェックができないんですよ。
[国会議員]
具体的に地元でですね、たまたま両隣りが整形外科と接骨院で、整形外科より接骨院が滅茶苦茶流行っている(会場笑い)。地元の住民の方は両方「先生」だと。ご理解が、区別が十分についていないんです。
[安達秀樹・京都府医師会副会長]
私は整形の立場ではございませんで、私は内科医ですが、内科医が見て、整形外科と柔整の問題というのはいろいろあります。オーバーホールで年間3800億円が整形のリハと比べて非常に近い数字だということの中には、今藤野先生は遠慮して言われなかったと思うから、僕が言いますけど。基本的に3割(自己負担を)払われて、6割7割を保険組合に請求されるというシステムを使う、療養費の「受領委任払制度」の対象の疾患は急性期の捻挫と打ち身なんです。その拡大解釈が際限なく今行われて、同じように保険を使われている形になっていることが問題で。これは長い論争がありまして。簡単に言いますと、脊椎が少し曲がっている。その結果、「右の背筋が捻挫で痛いです」と。治療しましたと。3か月するとその病名が「左の捻挫」に代わるんです。右を庇ってる結果、左が痛くなって「急性期で捻挫です」と。3か月するとまた「右」に戻る。左を庇ってたら右が痛くなる(会場がざわつき、大きな笑いが起こる)。これで延々と続いていく。つまり、アメニティー部分としてのマッサージやなんかのところにまで非常に広く拡大解釈がされて、それが使われていることがありまして。それをお受けになる皆さんにとってもこれは保険がきく話だ思ってらっしゃるということが、今起こっている現実だということ。