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ニュース〜医療の今がわかる

長期債務ゼロでスタートを NC独法化 検証チーム

 大久保
「職員のモチベーションの面から見ても、財投の仕組みで過去の借金を返済させられるのでは、未来のための希望など出てこない。NCに国民は何を期待するのか。国立病院とも当然違うだろう。私は国立病院なら、債務をゼロにしろなどとは言わない」

 近藤
「国民の付託を受けて、ある程度戦地に近いところへ行くような仕事をするのだから、感染症などはそういう性格が多分にある。自信を持って堂々とできる環境をつくってあげないと。それでないと多くの国民が助かることにならない。そういう仕組みをこれから作らないといけないし、その場合は特定のどこかというのではなく、オールジャパンで取り組むことが必要で、そのような理事長を選ばないといけない」

 大島
「足立さん、いかがか」

 足立信也・厚生労働大臣政務官
「財務に関することは、過去の債務を負わせるべきでないとは思う。私が大学を辞めたのが、独立行政法人化の直前だったのだが、昔の国立大学はレジデントや医員はみな非常勤だった。独立行政法人化されると、常勤化されるのだろうか。国立大学の医員の場合は非常勤だから日額1万何千円かの限度額があって、処遇改善にも限界がある。常勤にされる予定なのだろうか、予定として」

 仙谷
「あるべき姿として、中途半端な人が存在するのはよくない。任期つきであっても正規職員でないと、たとえば医療事故が起きた時にどうするんだとか副次的な問題が起きてくる。レジデントであっても、よその病院であればピカピカの人が収入の面で非常に苦労しながら苛酷な勤務に耐えているというのは不健全。本来は独立行政法人化したならば、各法人の使命に応じてどう処遇するのかも考え直す必要がある」

 土屋
「処遇の点はサラリーだけの問題でない。欧米でもトレーニング期間中は安いけれど、しかし極端に安いのは異常だ。それから管理職として反省しなければならないのは、労務管理をしっかりして来なかった。先ほど6時間勤務という話があったが、実際には皆16時間勤務をしている。ほとんど週末もなしに病院に泊り込んでいて、正月だけ家に帰るような生活だ。

 生活環境も整備しないといけない。正規職員になれば、国家公務員なので官舎がある。しかしレジデントには独身寮しかない。既に入ってくる時には3分の1、出ていく時には3分の2が妻帯者だ。そうすると月島とか門前仲町とかで10万円ぐらい出して物件を借りる必要がある。手取りが20万円しかないのに半分飛んで行く。そのために週末の当直アルバイトで辻褄を合わせるか、過去の貯金を取り崩すかしないと暮らしていけない。こういう状況を何とかするには、給与を増やすと同時に2DKくらいの家族寮つくってあげる必要があると思う。そういった自由度が今までは一切なかった。

 一方で中央病院なら600床で600億円。正木先生などは羨ましいと仰るかもしれないが、我々からすると随分無駄な設備を作ったな、そのお金があればもっと他にやりたいことがあったのにと日々思いながら働いている。そうして作った借金をこれから返さなければならないのかというのが正直な思いだ。今後できてくる借金を返すのなら皆死に者狂いでやると思うが。

 我が国民に新しい医療を提供するのが使命であるならば新規開発こそが最も大切。それを思うからこそ16時間働いても文句が出なかったのだが、我々管理者はそれに甘えてきたことを反省しなければいけない。既に臨床研修制度が始まって以来、大学医局が崩壊しているとはよく言われているが、新規開発の面で韓国・中国に抜かれている。欧米に遅れるどころかアジアですら遅れることになる。日本の企業も開発をアジアの他の国に持っていってしまったら、せっかくの国内の技術の恩恵を国民が受けるのに1年も2年も遅れることになる。そのことが現場で非常に焦りの原因となっている」

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