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ニュース〜医療の今がわかる

厳戒の米国大使館でジェネリックシンポジウム

1215taisikan.JPG ジェネリック医薬品の先進地アメリカ、その大使館で15日、「こうやればもっと普及するんじゃない?」という趣旨のシンポジウムが開かれた。聴講者が入り口で携帯電話まで取り上げられるという会場設定は、こわもてのガイアツを想起させるが、一方でアメリカでは官は民の利益のために動くのだなあ、日本とは全然違うなあということを痛感させられた。で実は中身も結構おもしろかった。(川口恭)

 このシンポジウムは『日米ジェネリック医薬品シンポジウム~過去に学び、今を知り、未来を語る~』というもので、主催は米国最大手のジェネリックメーカー、マイラン・インク。後援が米国大使館商務部ということらしい。

 冒頭、ジョン・ピータース商務担当公使が日米の国旗が飾られた壇上に現われ、流暢な日本語で「われわれ大使館商務部は、米国商品およびサービスの輸出促進する活動を行う部署。その一環で、ペンシルベニア州に本拠を置くマイラン・インクのシンポジウムを後援することになった。日本国政府は、ドラッグラグの解消とジェネリック使用促進の政策を取っておられて、また07年には12年度までに普及率を30%以上まで引き上げるという数値目標を設定されておられる。翻って米国では既に60%を超えており、現在の日本は米国の80年代半ばごろと同じ水準。医療制度の違いはあるにせよ、米国でジェネリックの普及が進んだ経緯を情報交換することは日本の皆さんにも参考になるのでないか」と挨拶して始まった。

 1人目の演者は。マイラン・インクのヘザー・ブレシュ社長。「84年にハッチ・ワックスマン法が成立した時点での米国のジェネリック普及率は19%。ほぼ日本の現在の水準と同じ。それが09年には70%まで行った。ここ10年でジェネリック医薬品によって節約された医療費は7340億ドルに上る(ホント!?)。それだけの効果が上がるまでに日本も25年間待たなければならないのだろうか。そんなことはない。これだけの時間がかかったのは、先発品メーカーが、ジェネリックは品質が劣ると市場に脅しをかけたり、法の抜け穴をついて特許期間延長を図ったりということをしてきて、その後追いでそうした問題克服をする必要があったから。我々の経験を生かして先手で対策を取ればもっと短い期間で普及させられる。

 ブランド品がジェネリックで傷めつけられるという物言いは誤り。むしろ、特許が切れたら市場を譲らなければならないということの分かっていた方が、イノベーションを促進するので、あらゆるステークホルダーに利益をもたらす」などと述べた。

 続いて登場した武藤正樹・日本ジェネリック医薬品学会理事長(国際医療福祉大三田病院副院長)は「ジェネリックの承認申請の基準が年々厳しくなっていることが知られておらず、いまだに安かろう悪かろうのイメージが残っている。既存製品も再検証を進めて基準に達しないものを排除した結果、実際には国際的にみても日本のジェネリックはレベルが高い。もう一つ障害になっているのは、ジェネリックにすると医療機関や薬局の得られる薬価差益が減ってしまうという問題。フランスでも日本と同じように普及が伸び悩んでいたのだが、ジェネリックでも同じ差益が得られるような制度にしたら一気に普及が進んで今や52%までいっている。日本でもフランスと同じような制度にしないと難しいのでないか」などと述べた。

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