医療機関の情報公開と患者のプライバシー
■ 「国家が責任を負う制度にしていただきたい」 ─ 嘉山委員
[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
えと......、まあ、これ(今回の厚労省案)に全面的に我々(医科の委員)は賛成します。先ほどの問題もそうなんですけれども、国家が何かを決めたときに、日本の今の社会保障制度の中で一番問題なのは個人にその責任を押し付けることなんですね。
先ほど、(先発品よりも値段が高い後発品の取り扱いをめぐる議論で日本薬剤師会理事の)三浦委員が(調剤薬局の現場が混乱すると)困ったのも、国家の(薬価)制度の、要するに後発品のほうが(安いので後発品への切り替えにインセンティブを付けたが、先発品よりも高い後発品があるという)......、(薬価)制度でもって間違った。それを個人に押し付ける。これが今、日本が駄目になっている......。
(こういうことを言うと)会長がまた「壊す」と言うけれども、中医協がそれをやらなければ、いつまで経っても問題が起きるんですよ。今回のこともある医療評論家が、これに反対している我々に対して......。
例えば、告知した場合にそれに耐えられなくなった人がいる。「またそんなことを言って」と言いますけど、私自身は3000人の脳腫瘍の患者と付き合って、たった1人ですけど、窓から飛び降りようとした患者さんがいました。それを同室の人がなんとか引き留めて......。
我々は帰納法......、帰納法というのは自分の体験から医療をやっていますので、たった3000人に1人でもですよ、その家族にとってはですね、やっぱり100%なんですよ。ですから、そういうことで、非常に不安を......、(支払側の)先生方に理解していただこうと思ったのですが、ここで国家として決まる以上は我々全員、協力します。
ただし、それ(明細書)を出した責任を医療側に......(負わせるのではなく)、国家がきちっと負うような制度にしていただきたいので......。よく銀行(の申込用紙など)でちっちゃな字で書いてあるように、保険でも書いてあるようにですね、この書類によって、これを発行した......。開業の先生方も出すわけですから、そういう人たちが責任を負わないというようなことを我々としては......。
国家が決めた以上はですね、そういうことは......、ほかの分野でも同じなので、そういうことをやれば医療側の不安を取り除けると思いますので、その辺をご理解願いたい。
全面的に、これ(今回の厚労省案)に対して賛成したいと思います。
で、(国の責任は)インフルエンザの注射のときも同じで、結局、打った......。国家で......、法定接種に近いものも、(ワクチンを)打ったお医者さんが責任を取らなければいけないという現実があって、非常に現場が不安がるんですね。
ですから、これ(明細書発行)に関しては国で決めたのと同じですから、国民皆保険でやっているんですから、やっぱりそこを......。今度は診療所になりますから......。例えば、(隣席の)安達先生(京都府医師会副会長)に責任がいかないというようなことをご理解願いたい。それを書き加えたいと思いますので。
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
ありがとうございます。それでは、邉見委員、どうぞ。
【目次】
P2 → 「大きな枠組みは前回提出したものと同じ」 ─ 厚労省
P3 → 「この案で2号側の先生方のご了解を得たい」 ─ 白川委員(支払側)
P4 → 「現状では賛成できないが、賛成したい」 ─ 渡辺委員(診療側)
P5 → 「国家が責任を負う制度にしていただきたい」 ─ 嘉山委員(診療側)
P6 → 「現場の忙しい医療機関に負わせるのは大変」 ─ 邉見委員(診療側)
P7 → 「今後何が起こるか非常に不安がある」 ─ 鈴木委員(診療側)
P8 → 「より分かりやすいものを段階的に検討する必要がある」 ─ 三浦委員(診療側)
P9 → 「私は賛成する立場で特に何も問題はない」 ─ 安達委員(診療側)
P10 → 「綺麗にしていこうと努力する情報開示の力がきっとある」 ─ 勝村委員(支払側)