地域の医師を増やす市民の会 千葉事務局発足
小松秀樹・虎の門病院泌尿器科部長
「こんな議論、本当にクソの役にも立たない。既存の大学はうまく行ってない。有名大学の13年目に市中病院の9年目が手術を教えて、あまりにも下手なので驚いたという話もある。そこで泌尿器科については若手の技量を向上させられるよう02年に東京泌尿器科研修協議会というものを作った。今は亀田も旭も入っている。やろうとしたのは多様性と交流と育成。そういう教育の部分をやらずに病院へ来いと行っても若い人は来ない。
私もつくるならメディカルスクールだと思う。ただ、すぐにはできないから、まずは茨城、埼玉、千葉、福島の浜通りで共同して医師を集めるような仕組みをつくるべき。県や市の単位では小さすぎる。それがメディカルスクール制度ができた時の受け皿になる。そういう魅力的な地域をつくって、言葉は悪いが医師を買い集める。どこにいる?と聞かれるだろうが、これが実は西日本にいる。この間、高知に行って歩いてみたら、商店街の5軒に1軒は開業医。これでは若い人は将来に希望が持てない。だから、こっちに来たら一流になれる、留学もできる、将来の心配はないというようにすれば集められる。現実問題として、有効に働いてない医者が結構いるから、そういう絶望している人たちの受け皿を作ればいくらでも集められる。そもそも人口から言えば、千葉には医学部が4校あっていいのだから、ここで1校ぐらい医学部を作っても焼け石に水。他の地域から余って絶望している人たちを引っ張ってこないと」
竜
「そう。千葉には医療資源はたくさんある。あとはいかに魅力を出すか」
寺谷俊康・厚生労働省医系技官
「千葉大医学部を卒業して研修は東京でした後、成田日赤で救急をやってた。月に10回から13回当直をしていた。これは厚生労働省としてではなく私見として述べるのだが、たしかに行動を急ぐ必要がある、一方でもう少し具体的なことも言わないと、ビジョンを示さないと、と思う。
整理しておきたい論点として、どの種類の医師を増やすべきなのか、医師を増やしてどうしたいのか、医師を増やす手段は何か、増やした医師を定着させる手段は何かといったことがあると思う。まずは専門医というよりは横断的な診療ができる病院総合内科医、診療所総合医、ER型救急医などを作ると打ち出すのがよいのでないか。それから、単独主治医と当直の制度をやめて、チーム主治医制度に切り替えるべきだろう。ゆくゆくは、育休や産休がとれたり、オフジョブトレーニングできたり、行政参加できる、そこまでは増やしたい。手段としては、既に述べられているが、千葉大の増員か医学部増設、メディカルスクールなどが考えられる。定着に関しては入口の練りかたとして、入学時の奨学金などが議論されるべき。それから、初期研修から後期研修のキャリアパスをどう描くかが重要で、現状として、後期研修までカッチリできているのは全国でも倉敷中央ぐらい。旭や亀田も、もう一回り大きくする必要がある。いずれにせよ、ここ1週間2週間で何かつくってロビー活動しないと間に合わないのでないかと思う」
平田・川田龍平参院議員秘書
「医師を増やしても科の偏在に手を打たねばならないのでないかと思う。自由標榜、自由開業の問題に切り込む必要があるのでないか。またコメディカルの裁量権拡大の問題も議論すべき。それから2025年を越えた後、医師が増えすぎたらどうするのか」
小西洋行・民主党参議院候補者
「総務省で、厚生労働省のここをどうしたらいいのかというようなことをやっていた。徳島にいたこともあるが、あそこは医師は多いのに徳島市で夜間の産科救急が綱渡りの状態にあったり、県南の過疎地域で脳卒中の急性期機関が指定できなかったり、また基幹病院で産科や外科に医師不足が生じているといったような問題があって、単に医師数を増やしただけでは問題が解決しない可能性もある。今後の日本がどういうグランドデザインを描いていくのか考える必要がある。実は基本法というものがある。1800法律がある中に、格が上の基本法は35個。でも医療分野にはない。医療は、何のためにどうあるべきかというグランドデザインを描けていない。実効性ある方策を講じるには、医師や患者など全ての関係者が国民的議論を行って政策に盛りこまれるという一連の流れを1セットで置くこと。基本法があれば、それができる。社会主義を誘導するとかいうことではなくて、医療にはその最低限の基盤が欠けているんだということを認識していただきたい」
赤津・読売新聞記者
「たしかにクソの役にも立たない議論かもしれないが、しかしこの程度の認識すら県民に共有されていないのも事実。もっと伝えていく必要がある」
了徳寺・了徳寺大学理事長
「この中で実際に大学をつくった経験があるのは私だけだろう。皆さんが思っているより大変なことだ。昔から大学をつくると死人が出ると言われたぐらい。大型トラック1台分の書類を出さなければならなかった。今でも小型トラック1台分は必要。実は昨日ある病院の経営者にうちの附属病院になれと言った。私どもも強い意思を持って一歩踏み出したいと思う。サラリーマンの家庭で入れるような医学部をつくりたい。ウチは今まで保護者に寄付を求めたことは一度もない」
竜
「千葉には医学部が必要だ、とホームページに掲載したい。それから、どういう医学部にするのかという提案もさせていただきたい」