嘉山新理事長、職員に自立・自律・自浄を求める 国立がん研究センター
1日に国立がん研究センターの理事長に就任した嘉山孝正氏は、職員向けの訓示の中で、「プリンシプルだけは頭に入れてやっていかないと事業仕分けの対象になる」「自立・自律・自浄をやってかないとアウト」と述べたうえで、『がん患者さんに起きる医学的・社会的・精神的問題等を解決する組織』をめざすなどとの基本理念を明らかにした。(川口恭)
嘉山理事長の訓示の中で記憶に残った部分をいくつか列挙する。
「今日からの組織では誰が責任を取るか一目瞭然になる。皆さんご承知のように、がんセンター中央病院には104人の医長と93人の医師しかいない。医長の方が多い。誰の責任なのかサッパリ分からない。そういう組織ではダメなので大幅に変える。それから、ここ数日の間の新聞だとかの報道は国立がんセンターという名前を名乗りながら、組織に影響を与えた場合、独立行政法人では背任行為になる。これからは広報室を設置して、広報室を通さない限り、取材は受けられない。もちろん学問的なことはどうぞ自由に。何とか事件とかは、子供のケンカじゃないんだから、公の所を通してきちんとしたエビデンスとして答える。そういう組織に今日からなったということを認識してほしい」
「大臣の示す中期目標に則ってアクションプランを8月か9月までにハウツーを書く。基本的なプリンシプルは(略・写真参照)。今までは公務員総定員法のせいで正規職員が凄い少ない。だから正規職員を増やす。医師も増やす。脳外科で言えば3人しかいないんでは地方国立大にも勝てないからスタッフ6人のレジデントも入れて10人くらいにはする。定員枠に囚われず、業務内容、ファンクションによる人員配置を行う」
「日本は、がん登録すらできてない。それは、がんセンターが中心になってやらないといけない。今の数字というのは亡くなった時の患者数からやっと分かっている。がんの発生した時から追わなければ、患者にとって何の意味があるか。それと今、がんセンターが持っている情報を開示してない。個人情報をマスクしたうえで開示する。どうやるかというと、秋山という皆さんご存じだと思うが、そういうプロがいて、ヤフーのやり方ではなくグーグルのやり方でスパコンが要らない形にする。データの互換性さえあれば情報はどこからでも生かせる。こういうことを経産省とか国家戦略局と一緒にやる」