文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼15 長尾和宏・長尾クリニック院長(3)


長尾
「先生、ウチにも勤務医がいるんですよ。日本には診療所勤務医もたくさんいてるんですよ。で実はそれが普通の時代なんです。僕も色々なところに書いてますけど、診療所を在宅を含むかかりつけ医的なイメージが持たれている、それは間違いではなくていいことなんだけれど、となると複数でやると、従来は夫婦でやってたりしたけど、これからは数人でやっても全然当たり前、そういう診療所があっても悪くないんちゃうかなと僕は思ってて、僕のところは10人くらいいてるんです。まあ実は色々な批判もあるとは思いますよ、そうなると患者さんが来るから、周辺からしたら患者さんを取るなということだと思います、たぶんね。だけど僕は医師会に入って、色々な委員長やったり内科医会の会長をしたり、何ていうかな自分だけよければいいということではないんだけれど、でもそういう形になっちゃったんです。

ただ僕もたった1人で3年ぐらい鳴かず飛ばずでやってて、親の跡を継いだわけでもないから、たまたまやってたらこうなって、どうせやるならどこまでいくのかやってみようと思って、実験的に今やってるわけです。僕の場合はまだ何も継ぐものがないんで。開業医は既得権益みたいなものがあって、みんな継ぐじゃないですか。あれよくないなと思ってね。政治家と同じで、開業医も本当に世襲制ですよ。そんな内科医会の会長になぜか僕がなったんです。今は勝谷誠彦さんの弟さんがやってるんですけど、尼崎230人の内科医会の会長やってた時、幹事会で僕が挨拶したら全員が2世なんですね、僕だけ2代目じゃなかった。政治家も世襲とそうじゃないのがあるように開業医もすごくあって、やはり1代目の僕みたいな人間の考えと世襲の開業医の考えと少し違うように感じます」

村重
「どんなところが」

長尾
「やっぱりね、一言で言うと、少々保守的ですね。まあ政治家もそうだけどね。僕らは1代目なので常にチャレンジャーとしてやっていきますね。だけど向こうは、とにかく開業した時から患者さんが付いている。僕らはゼロからやっている、ずーっと借金背負ってやっている、今もそうですけど。そういうチャレンジャーですね。やっぱり考え方とか全く違うんですね。だから難しいですね。

たとえばインフルエンザの予防注射するんでも、季節性のやつは値段自由なんですよ、医師会は4000円くらいが多いですね。でも、患者さんの負担を考えてあまり安い値段にして打つと医師会の仲間に迷惑をかける。やはり人間の社会というのは、一方を立てると一方に迷惑をかけるという難しさがあります。

そんな中で先生が、診療所勤務しながら、他に何やってるんですか。聴いたらいかんのかな、あまりプライバシーをあれしても。聴かんとくわ。ですけど、とにかく辞められて臨床にいらっしゃるということ、患者さんを診てるよね、どうですか患者さんを診て嬉しかったですか、やっぱり私は医者の方がいいと思われたのか、それとも私はこんなくだらない仕事してたらアホになると思ったか」

村重
「両方やりたいと思ってるんです」

長尾
「いいですね、両方あるとね」

 1  |  2  | 3 |  4 
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス