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中医協再開、「時間も限られた貴重な資源」と新会長

■ 遠藤・前会長の退任挨拶
 

[遠藤久夫・前会長(学習院大経済学部教授)]
 遠藤でございます。本日はお招きいただきましてありがとうございます。

 私、平成17年4月に公益委員に任命されまして、その後6年間、公益委員をさせていただきました。最初の3年間は薬価(専門部会)と保険医療材料(専門部会)と、それから(診療報酬改定改定結果)検証部会の座長をさせていただきまして、後半3年につきましては、総会と(診療報酬)基本問題小委と調査実施(小委員会)の座長をさせていただいたということで......。

 まあ、中医協のですね、すべての会議の座長をさせていただくという経験をさせていただきました。その間、中医協もさまざまな課題があったわけでありましたけれども、本当に非力な私が大過なく6年間過ごしてこれたのはまさに委員の皆様方のおかげであるということをつくづく 感じている次第であります。

 この場をお借りしまして、まずは御礼を申し上げたいと思います。

 また、私、3年目にですね、会長を拝命したわけでありますけれども、当時まだ私の年齢は50代の前半でございまして、ほとんどの委員の方々は私より年上だったということでありまして、立場とはいえですね、かなり失礼なことも言っているなあーということをですね、つくづく議事録を見ながら思いましたものですから、それもこの場を借りてお詫び申し上げたいと思います。

 まあ、あまり懐古趣味は全くないのですけれども、この6年というのは中医協にとりましてもかなり大きな変革があったというふうに私は理解しておりまして、17年に公益委員を拝命した時にはですね、中医協の見直し委員会というものがすぐ設置されまして、中医協の機能が大きく変わったという時でありました。

 改定率に対しては中医協としては意見は言えるが決定権限はないということと、診療報酬改定の基本方針は社会保障審議会・医療保険部会、医療部会、両部会合議で決めるということで、その2つの制約の中で非常に細かい点数であるとか算定要件などを決めるという、そういうことに特化してきたわけでありますので......。

 まあ、そういう意味で中医協というのは、何か非常に大きな権限を持っているかのようなことも言われているわけでありますけれども、事実上はかなり、そういう意味では権限が縮小したと言いましょうか、そういうところが1つあった。

 そういうことでありましたけれども、それでまあ、「中医協としての機能が低下したのか」と言うと、そういうことでは決してなくて、財源の制約があるものですから、非常に低い改定率の中で細分化の......、配分の問題を議論していかなければいけないということで、大変難しい意思決定をせざるを得ないということなので......。

 そういう意味では、中医協の機能というのはですね、むしろ高まっているんだろうなあーというふうに私は考えてきておりますし、今後ますます、そういうふうになっていくんだろうというふうに理解しております。

 この会の運営を見ましてもですね、非常に多くの調査をするための仕組みが出来上がっておるわけで、まさに合理的、公平な配分をするためのエビデンスベースのですね、仕掛けがいくつもあるわけでございます。

 昔は医療経済実態調査ぐらいだったわけですけれども、現在はご覧の通り検証部会がいくつもの調査をしておりますし、基本小委の下にあります5つの調査専門組織の......、5つの分科会では......。

 1つ(手術に係る施設基準等調査分科会)は今、休眠状態になっているようですけれども、それ以外はほとんど、いろんな調査をしているということもありますのでですね、それらのエビデンスを基にですね、議論が進んでいくということでありますから......。

 こういう調査機能を持った審議会というのは他にはないんだろうなあというふうに思っておりますので、ますますこのような機能を十分活用されて、合理的な配分の問題を解決していかれるということをぜひ期待しておりますし、私も外から拝見させていただきたいというふうに思っております。

 あの......、今後の議論について、私、何も申し上げる立場では何もないんですけれども、なかなか......、立場上ですね、言いたいことも言えなかったということもあるのですけれども......。

 医療経済の研究者として一言申し上げさせていただきますと、さまざまな課題もあるんだろうと思いますけれども、今後の課題の1つには、やはり医療の費用対効果という議論を、今後議論する必要があるだろうというふうには思っております。

 まあ、世界的にですね......。ま、そもそも「医療の費用対効果をどう測定するか」というアカデミックな議論というものは、もうほとんど、ある意味で完成しているわけですけれども、それをその実際の医療政策の中でどう使うかというところにつきましては、まだその......、政策とアカデミアの世界とが若干乖離してきたというところがあるわけなのですが......。

 ここ数年......と言いましょうか、急速にですね、どの国でも医療費の上昇という問題があるものですから、費用対効果ということを政策の中に関連させていくという動きが先進国の中で見られてきております。

 一番典型的なのは、イギリスのNHSのNICEでありますけれども、あれほどですね、ドラスティックなものではないにしてもですね、さまざまな形で Health Technology Assessment と言いますけれども、そういったようなものが入れられてくるので、そういったことをですね、今後の価格付けの中で反映していくということが必要なのではないだろうかなーということを感じております。

 そういう中で特にですね......、まあ、例えば薬などを見てみますと、DPCは従来よりも高い薬ですと、1SDを超えて高額な薬は出来高になるわけでありますので、ここ(中医協)で随分報告されておりますけれども、あれで見てお分かりになりますように、抗がん剤を中心に結構高価な薬が出てきているということの1つの証左でありますし......。

 薬剤比率もですね、当初と比べると......、まあ当初は3割ぐらいあったわけですけれど、1割、2割ぐらいにまで下がりましたけれども、また少しずつ増えてきているわけですね。

 ジェネリックを推進しておりますし、急性期の入院医療の包括化が進んでいるという状況であるにもかかわらず、少しずつ増えてきている状況があるものですから、今後ですね、費用対効果の問題というのはまあ、薬の問題、あるいは技術の......、医療材料の問題でも議論していくというのは世界の流れから見てもおかしい話ではないだろうと思っておりますので......。

 まあ、そういうことが今後議論されていくのではないだろうかなあ、というふうに思っているわけでありますけれども......。余計なこと、最後に申し上げました。

 いずれにいたしましても、本当に6年間ありがとうございました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。(拍手)

[保険局・外口崇局長]
 ありがとうございました。
 

【目次】
 P2 → 遠藤・前会長の退任挨拶
 P3 → 印南、堀委員の就任挨拶
 P4 → 森田・新会長の就任挨拶
 P5 → 委員が厚労省に感謝の弁
 P6 → 勝村委員の退任挨拶

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