高齢者医療を守るのは誰か (上)
■ 療養病棟入院基本料変更の影響
[池上直己分科会長(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)]
まず、報告書の論点としまして、「中医協総会からの付託事項等」といたしまして、(1が)「平成22年度改定で行った療養病棟入院基本料変更の影響についての検証」、
2が、「医療区分1の患者の実態についての検証」、
3が、「慢性期入院医療の在り方の総合的検討に資する検証」、
4が、「認知症患者の状態像に応じた評価の在り方についての検証」、
5が、「医療療養病棟における医療の質の検証」です。
これらについて、分科会で検討いたしまして、まず平成22年度の改定の影響の検証につきまして、医療療養病棟の患者の状態像の変化。
今回の横断調査......、横断調査というのは、当分科会とは関係なく行われた医療療養以外の介護施設等を含んだ横断調査でございますが、それと20年度調査を比較したところ、20対1病棟は「医療区分2と3」の患者割合が増加しており、25 対1病棟は大きな変化はなかった。これは資料5ページに結果が記してございます。
続きまして、医療療養病棟と介護療養病棟との比較につきましては、介護療養病棟と比べて医療療養病棟のほうが「医療区分2と3」の割合が高く、両者の機能分化が進んでいた。これは資料の5ページの下のほうに書いてございます。
それからまた別個に、レセプト調査を行いまして、レセプト調査については、医療療養病棟における患者1人当たりのレセプト請求額を20 年度調査と比較したところ、20 対1病棟は増加しており、25 対1病棟は減少していた。これは資料の8ページに書いてございます。
続いて(4)、 コスト調査による病院収支の動向ということでございます。
医療療養病床を有する病院の21年度と22年度の1月当たりの収支状況を確認したところ、20対1病棟を有する病院、25 対1病棟を有する病院ともに1病床当たりの収支差額は増加していた、というのが9ページに提示されている通りでございます。これは、「医療経済実態調査」の手法に準じて行った結果でございます。
【目次】
P2 → 療養病棟入院基本料変更の影響
P3 → 医療区分1の患者の実態
P4 → 「在院90日超え患者」
P5 → 状態が類似した患者に対する検査
P6 → 「特定除外患者」の状況
P7 → 「BPSD」への対応
P8 → 医療の質の検証
P9 → 中医協総会への提言
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