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気づいていますか? 老人性難聴

年をとると耳が遠くなるワケ。

 そもそも、老人性難聴はどうして起こるのでしょうか。下図を見ながら理解していきましょう。
19-1.2.JPG 音というものはすべて、空気の振動です。ですから耳(耳介)から入ってきた音は、外耳道を伝わり鼓膜を振動させます。その先の中耳では、物理的な振動が耳小骨を経て内耳まで伝わります。さて、この内耳(蝸牛)から大脳の聴覚皮質中枢(聴覚野・聴覚皮質)にかけてが、聞こえをつかさどるメインプレーヤー。そして老人性難聴を引き起こす張本人でもあるのです。
 カタツムリの形をしている蝸牛の中には、片側の耳で約1万2千個、音のセンサーである感覚細胞があり、中耳からの音の波を電気信号に換えて聴神経(蝸牛神経)に伝えます。なかでも、蝸牛の入り口近くの感覚細胞が高い音を担当しているのですが、加齢とともに老化が始まるのも入り口側の細胞からなのです。老化した感覚細胞は変性してなくなり、除々に数が減っていきます。こうして高い音から聞こえにくくなるというわけです。
 同時に、聴神経や聴覚をつかさどる脳そのものも老化していきます。蝸牛神経は蝸牛から聴覚野へのびる神経線維の束ですが、再生しないため、老化で壊れた部分が担当していた音の電気信号はそこで途絶えてしまうのです。
 音は、男性は女性より早くから聞き取り能力が低下するといわれてきました。男性のほうが兵役や社会のさまざまな騒音にさらされる機会が多かったためではないでしょうか。慢性的な騒音も、老人性難聴の原因の一つと考えられるのです。ただ、社会や個人のライフスタイルが変わった今後は、どのような性差もなくなっていくのでしょう。

間違えやすい他の病気。  「年のせいで耳の聞こえが悪くなった」と思っても、実は違う病気ということもあります。とくに注意したいのが、耳垢閉塞と滲出性中耳炎。耳垢とは、つまり耳アカ。とはいえお年寄りの場合、ぎっしりと外耳道に詰まって難聴の原因になっていることがよくあるのです。そうなると家庭で取るのは危険。専門医にとってもらう必要があります。滲出性中耳炎は、鼓膜のすぐ内側に水がたまる中耳炎のひとつ。年齢問わず罹患しますが、傷みがないのでお年寄りには気づきにくいものです。ぜひ、周りの人たちも気をつけてあげてください。

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