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特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

梅村聡の目⑧ 中医協委員を大阪に招き、フォーラムを開きました。

関西版『それゆけ!メディカル』限定コンテンツです。

 9月23日、大阪に厚労省の「中医協」委員を呼んでフォーラムを行いました。何のことかと思われるかもしれませんが、これからの医療政策の決定プロセスを変える可能性を秘めた催しとなりました。

 中医協と言われても、多くの方がピンと来ないと思います。医療機関が得ている診療報酬、つまり医療の"値段"を決めている厚生労働大臣の諮問機関「中央社会保険医療協議会」の略称です。2年に1度の診療報酬改定が近づいてくると、毎週水曜日に主に厚労省内で会議を開いています。
 私たちの受ける医療に直結する会議であるにもかかわらず、議論の中身を国民のほとんどが知らないと思います。厚労省のホームページで議事録は読めますが、私自身も国会質問を行う際に該当部分だけを読むぐらいでした。診療報酬は国会で決められていると思っていた医師の方もいたぐらいです。医師すらそんな状況ですから、ほとんどの人は関心を持っていないでしょう。
 ここに大きな問題があります。

政策決定過程を変える

 中医協は、医師会や病院団体などから出てくる医師や歯科医師、薬剤師を代表する委員7人、健康保険組合連合組合や全国健康保険協会などから出てくる医療費を支払う側の委員7人、学者など公益を代表する委員6人で構成されています。お金をもらう側、払う側、国民側、という三つの立場で議論しているわけです。
 彼らが決めるのは、患者の受療行動や疾病の傾向、医療機関の経営状況や労働環境などに基づいて、どういう方針の下に改定作業を行っていくかということです。例えば、前回の2010年度改定では、勤務医の負担軽減につながる項目や大学病院、外科、小児科、産科、救急医療などに重点配分されました。細かい点数の改定は事務方の官僚が行います。
 中医協に限らず、省庁の開く検討会や審議会のほとんどは、官僚が実質的に委員を決めています。しかも委員と言っても、省庁での議論には慣れていないことが多いですから、思うように発言や行動ができなくて当然です。結果的に、厚労省の描いた筋書通りに議論が進み、報告書がまとめられて政治家に報告されます。
 政治家は市民側の意見を聴いて内容が現場に即していないと思ったら、「おかしいじゃないか」と官僚に伝えますが、「専門家が議論した結果です」と返されて終わり。会議が厚労省のアリバイにされ、現場と乖離した報告書に基づく政策が進められてしまっているのです。私のところにもよく具体的な医療政策や診療報酬に関する要望が寄せられますが、本来は私ではなく中医協の委員が知るべき話なのです。
 ニーズを抱える国民と、政策を議論する委員が分断されていたことは、今の"医療崩壊"を招いた原因の一つとも言えるでしょう。どうして分断が起きるかというと、それぞれの委員について、国民の側が全く知らないことも一因だと思います。
 私は国会議員になってから、この流れを変えなければ国民のニーズに合った政策は行われないと感じるようになりました。誰もやってきませんでしたが、分断されてきた委員と国民をつなげて政策に反映させることにこそ、政治家は関わるべきであり、それこそが政治主導、政権交代の意味でもあるのです。
 まずは、私たちの受ける医療に直接かかわる中医協からと考えました。委員と実際に触れ合って、個人のキャラクターや置かれている立場が分かってくれば、この人はこんな意図で言ってるんだろうなとか、背景も読めてきて面白くなると思います。
 本来は、すべての委員を呼べればいいのですが、規模が大きくなり過ぎるので、とっかかりとして診療側の医師の委員5人と一般の医療者が意見交換する場を設けたいと考えました。委員の方々からご快諾をいただき、9月23日に大阪でフォーラムを開催しました。厚労省関係者の話によると、このように5人の中医協診療側委員が一堂に会したイベントは例がないということでした。北は北海道から南は九州まで、約300人が駈けつけました。今回は厚労省の診療報酬改定担当者は呼びませんでした。彼らがいると、委員に遠慮や計算も出てきてしまうと思ったからです。
 会場からは、被災地の医療機関への支援、入院患者が他の医療機関を受診した場合に入院中の医療機関が費用を負担しなければいけない問題、受診時に窓口で必ず100円払うようにする定額負担の是非、医療と消費税の問題(当コーナーの第3回を参照ください)など、多くの意見が出されました。予定時間の2時間30分を1時間も越える大盛況となり、それでも皆さん言い足りない様子でした。

一体感から行動へ

 今回、大学病院、自治体病院、開業医、民間病院などを背負った各委員から、業界代表としてだけでなく個人としての意見が多く出されました。現場の医療者が切実に悩んでいる問題を肌で感じてもらうこともできたのでないかと思います。こういう腹を割った議論から、医療を変えていこうという団結ができていくのだと思います。
 現場の皆さんには、現在の診療報酬に関する主な論点をダイジェスト版で知っていただけたように思います。終了後には、多くの方から「生の中医協委員と近い距離で話をすることが出きて、身近に感じることができた」という感想をいただけました。
 今回は私の後援会が主催でしたが、本来こうした会は、自分たちの行う医療をよいものにするため医師会や病院団体、国民が積極的に行っていくべきものだと思います。今後全国へ広がってもらいたいと思います。
 細かい話も多かったため、全員にすべてを理解してもらえるには至らなかったと思いますが、「この人たちが厚労省でこんなことを話しているんだな」と感じてもらうことが一番大事だったと思っています。市民も交えた形で、こうした動きが広がってほしいと思います。
このフォーラムの質疑応答の模様は、こちらに掲載されています

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