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がん低侵襲治療② 肺がん

82-2-1.JPGがん手術の負担を少しでも軽くしようとする低侵襲治療。特集第2回の今回は、肺がんについて、がん研有明病院の奥村栄・呼吸器センター長兼呼吸器外科部長にお話をうかがいました。

82-2.1.JPGできるだけ多く残す
 肺がんでは基本的に、がんが肺内にとどまっているⅠ期や、転移していても原発巣と同じ側の肺門リンパ節に限られるⅡ期は、外科療法を行います。隣接する重要臓器に浸潤したり、縦隔リンパ節に転移しているⅢ期では、抗がん剤や放射線が中心の集学的治療となりますが外科療法を行う症例もあります。血管を介して遠くの臓器に転移しているⅣ期では、抗がん剤による全身的な治療が適応となります。
 手術が可能な場合、標準手術は「肺葉切除」+「リンパ節郭清」です。右肺は上葉、中葉、下葉の3葉に分かれ、左肺は上葉と下葉の2葉に分かれています。肺葉切除は、がんが含まれている葉を丸ごと切り取ってしまう手法です。またリンパ節郭清というのは、リンパ節を一つ一つ切除するのではなく、決められた範囲のリンパ節を周りの脂肪と一緒に切除してしまうものです。この2段構えによって、仮に原発巣の周りに検査や肉眼では確認できない微小ながんがあっても取り残すことはないというわけです。
 ただ近年、マルチスライスCTなど、CT技術の発達と検診の普及によって、胸部単純レントゲン写真では発見できない小さな早期の肺がんも発見できるようになってきました。
82-2.2.JPG「当院では、健診がきっかけで肺がんが見つかり、紹介していただく患者さんが多いせいか、直径2cm以下の腫瘍が約25%、2~3cmの腫瘍が約30%を占めています」と、奥村部長。「かなり早期の肺がんの場合には、従来の標準手術である肺葉切除をそのまま適用してしまうと、"取り過ぎ"になってしまいます」
 当然のことながら、肺を切り取れば、その分だけ肺機能は失われ、患者のQOL(生活の質)も低下します。
「そこで検討されるのが縮小手術です。右肺では10に、左肺では8に分かれている『区域』(S)ごとにがんを取り除く『区域切除』や、もっと小さく、がんをくり抜くように切り取る『肺部分切除』があります」
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局所再発は絶対避ける

 区域切除と部分切除のどちらを行うにしても、絶対に避けなければならないのが局所再発です。がいが小さいからと肺機能の温存のために切り取る範囲を縮小した結果、切除断端に再発をしてしまっては本末転倒です。
 局所再発を絶対しないことを前提に、がんの広がりを考えながら区域切除もしくは肺部分切除の具体的な方法が決定されます。区域切除では肺門まで切除するので、肺門リンパ節などの転移の評価が可能となります。
 奥村部長によれば、「がん研では手術中にリンパ節の迅速診断を行えるため、その結果で適正な術式への変更が可能です」とのこと。
 肺部分切除は、より早期の肺がんにッ対して選択される手術術式です。区域切除よりも多くの肺機能を温存できるため、より患者の体の負担が少なくて済みます。

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