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リン排泄役の腎臓がCPPで傷む悪循環~【年間特集】血管を守る②

前号でご紹介したように、血中にCPPが過剰に存在すると、血管石灰化や老化の原因になります。血中CPPの量は、血中の過剰なリンを腎臓が尿へ排泄すると減るのですが、尿中のリン濃度が高いほど、腎臓自身も傷んでリン排泄の能力が落ちる、そんな悪循環があります。
※Calcic Protein Particle。リン酸カルシウム結晶が血中のタンパク質と結びついた微小結晶。

 動脈硬化の原因物質として前回ご紹介したCPP。血中のリンが、リン酸カルシウムの微小結晶として析出、血中のタンパク質と結び付いたものでした。このCPPが病原体のように働いて、血管石灰化など様々な不具合の原因になっているという説もご紹介しました。

 とは言え、体内にCPPが発生すること自体は、そんなに珍しいことではないと考えられます。

 「健康な人でも、血中のリンとカルシウムは過飽和(安定的に溶けていられる以上の濃度になっていて、少しのきっかけで結晶が析出する)状態にあります。リンを摂取し過ぎるなど、ちょっとしたきっかけでリン酸カルシウムが析出すると考えられます」と自治医科大学抗加齢医学研究部の黒尾誠教授。析出したリン酸カルシウムは、血中で速やかにCPPの形を取ります。

 ただ、特に成長期の子どもなど、骨が材料を欲している状態であれば、CPPは「病原体」のように作用する暇もなく、利用されていくと考えられます。また、私たちの体には恒常性を保つ仕組みがあるので、過剰なリンは代謝・排泄され、いつまでもCPP産生が続くことはありません。

腎機能が大事

 血中の過剰なリンの排泄に大切な働きを果たすのが腎臓。

腎臓の構造.pngネフロンの構造.png
 体を巡ってきた血液から不要物を回収して尿を作る器官です。血中のリンは、いったん「糸球体」で老廃物側の原尿に入った後、「尿細管」で水分や糖分、ミネラルなどと一緒に再吸収されて血中へ戻ります(図)。この再吸収の加減で、血中のリン濃度は調節されています。

 問題は、この腎臓の機能、つまりリンの排泄能が加齢と共に低下することです。「糸球体」と「尿細管」のセット(ネフロン)が減ることで低下します。

 「元々は左右の腎臓合わせて200万個のネフロンがありますが、加齢と共に減少し、50代以降では半減してしまいます。リンの迅速な排泄に支障が出て、血中リン濃度の高い状態が長引けば、その分、CPPは生じやすくなると考えられます」と黒尾教授は言います。

 リンの血中濃度が高いのに、尿からの排泄が迅速に行えない、そうなってくると血中のCPP濃度も高くなってくるということです。

 さらに、そのCPPを骨が速やかに使ってくれないと、いつまでも血中にCPPが存在することになり、「病原体」としての側面が色濃く現れてきます。加齢と共に骨の新陳代謝が悪くなるのは、皆さんもよくご存じのことでしょう。
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