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白髪は抜いても増えない~それって本当?

白髪を抜くと増える、という都市伝説はウソです。ただし、若白髪で悩んでいるなら、毛を抜く前にすべきことがあります。
専任編集委員 堀米香奈子(米ミシガン大学環境学修士)
 「白髪を抜くと増える」という噂について、聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学(アンファー寄付)講座の井上肇特任教授は、「はっきり言ってウソです。抜いても白髪は増えません。毛包に刺激が加わることで、1つの毛穴から毛が2~3本生えてくる可能性もありますが、頻繁には起こりませんし、まして他の毛包に影響を与えることもありません」と話します。

 「毛包」(毛嚢とも言います)は毛の一本一本を取り囲む組織層のことです。

 いきなり結論が出てしまいましたが、そもそも白髪ってどうして出現するのでしょう?

色素細胞に問題

 毛包の中には毛そのものを司る、毛髪に色(黒毛、ブロンドなど)を着ける色素幹細胞があります。前者は毛の材料として、毛の工場とも言える毛球部に運ばれます。後者の増殖分化した色素細胞はメラニン色素を合成し、この色素が毛球部で受け渡されて毛を着色します。つまり白髪は、何らかの原因で色素細胞が色素を送り込めなくなった毛ということになります。

 井上教授は「加齢による白髪の場合は、色素幹細胞が老化して自己複製能を失い、枯渇してしまうためと考えられます。若白髪の場合は、色素幹細胞が休眠状態にあったり、色素を毛幹内に送り込めなかったり、ということが考えられます」と話します。

 加齢による白髪と若白髪の境目は、「はっきりと線引きできるものではありませんが、40歳代くらいでしょう」と井上特任教授。

若白髪は治る?

 で実は、若白髪の人の毛包内で色素幹細胞自体は生きている可能性が高いことから、対応次第では「治る可能性があります」と井上教授は言います。

 まずは食生活です。「極端に偏った不規則な栄養状態を経験した人の髪は、その時期に伸びた部分だけ白髪になっていて、毛先と根本近くはまた黒くなっている、ということもあります」

 特に気をつける必要があるのはタンパク質の不足です。タンパク質から供給される必須アミノ酸のフェニルアラニンはチロシンというアミノ酸になり、これがメラニン色素の原料となるため、タンパク質不足は白髪を招きます。

 「昆布やひじきが髪にいい」という噂もありますが、井上教授は「あながちウソでもないでしょう。海藻には海水のミネラルが豊富に含まれます。ミネラルなどの微量因子は、メラニン色素を作る酵素化学反応を円滑にするために必要です。ただ、海藻だけではタンパク質が足りませんから、昆布ばかり食べても黒髪は生えません」と言います。

 その他のリスク要因として井上教授が挙げたのは、睡眠不足、喫煙、過度の飲酒、精神的ストレスなどでした。いずれも、体の細胞が、活性酸素などによる酸化ストレスの影響を強く受ける状態です。

 マウス実験では、放射線を当てて活性酸素を生じさせるなどすると、色素細胞は枯渇してしまうことが確かめられています。

 心当たりのある若白髪の人は、歳のせいとあきらめたり、まして抜いたりせずに、生活全般を見直してみてはいかがでしょうか。

(コラム)一夜にして白髪?
 
 「マリーアントワネットが一夜にして白髪になった」という伝え話、ご存知ですよね。「ストレスが白髪の原因になることを象徴的に言っている点ではそれらしく聞こえますが、実際には、当時の身分の高い女性たちは皆ウィッグをつけていたので頭髪も隠れていたのが、仏革命で座を追われ、白髪頭が露わになっただけでしょう」と井上教授は解説します。

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