後期研修班会議3
「日本の場合は難しい要素がある。ヨーロッパでは、医療費の制御も医療の提供も「公」がやっている。米国では、両方とも「私」がやっている。日本では医療費抑制は「公」がやっているけれど、提供の80%は「私」だ。だから制御が難しい。市場的にやろうとすれば価格で決まる。でも、それは実施しにくい。スウェーデンなんかのように全部国立病院だったらベッド数を絞るんでもあっという間だ。欧米では、先進国型としてベッド数や在院日数を減らした時に、日本だけが逆にベッド数を増やした」
葛西
「評価ということについていえば米国の家庭医のコミッティーを見学させてもらった。質を上げるために真摯な議論が行われていた。実現しているところもあるということで情報提供させていただいた」
土屋
「論理的に必要性をきちんと説明する必要があるとのお話だったが、実はトレーニングする側はかなり論理的に説明するようになったしできていると思う。むしろ受ける側が自律の必要を理解するか。説明する側の努力ではなくて、むしろ27万人いる医師の方が理解しないといけないのだがそれが難しい。それならある意味外圧というか国民の声そちらの声に理解を求める必要があるのではないだろうか」
桐野
「責任持ってやる立場におかれると大変だろうなと思いながら話をしている。学術会議はまとめた段階では例の2200億円削減が微動だにしていない時期だった。その時から見れば少し状況は進んでいる所がないわけではない。やらなきゃ医療が破壊される可能性が高いよということは言えても、じゃあどうするのかは難しい。医療費とか病院医療の改革とかは、結局は政治的な力が働かないと解決しない。票しか解決できるものでない。それに比べると、専門医の話は医師集団が根性を見せれば何とかなる話。ここで医師自らが提案しておかないと、将来つらい目に遭う。国民も損をするんだということを理解してもらって、きちんと後押ししてもらうしかないだろう」
有賀
「すべての医師が専門医をめざすべき、そこまでは理解できる。専門医をつくる、認証する、全体像としてはどうなのか。全員加盟する組織が必要なので入ってしまうべきか、組織から離れると活動できない弁護士と同様の全員加盟なのか。もし専門医はいいやという人がいたらドロップアウトしてしまって構わないのか」
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