後期研修班会議8
最後のスライド
川越
「専門医を選んだ後でGPになりたい人はどうやって入っていくか。もうひとつ、GPに人気が出てきた原因・理由を教えてほしい」
ネイバー
「1つ目だが、専門医研修のうちいくつかは家庭医のコースでも同等に扱われる。たとえば外科医コースの18ヵ月は家庭医コースの12ヵ月に換算される。最高のGPというのは病院の専門医から技術を持って移行するパターンだと思っている。なぜGPが人気かというと、臨床上の評判が高まっているからだと思う。給与面で変更があって、よい収入を得ようとするとよいアウトカムを達成する必要があり、その際にGPのアプローチが高い臨床を達成できるということが分かってきた。対して病院の若い医師は以前に比べると、よりプレッシャーの高い立場に置かれている。労働時間は週に52時間。私が若いころはもっと働いた。つまり、その分昔なら若い人がやっていたようなことをシニアになってもやらなければならないということで、専門医になっても楽しくないという状況がある」
土屋
「ディーナリーの資金、予算の規模と事務局の規模を教えてほしい」
ネイバー
「すぐには出ないので正しい数字は後ほど送る。ディーナリーは研修医の給与、指導医の手当て、教育的イベントの開催費用、教材費など全て予算の中に含まれている。地域の大きさや研修医の数によって異なる。ロンドンは北と南で1個ずつ、スコットランドでは1個で、だいたい300万人から500万人をカバーしている。その座長は保険省から任命される。医師ではない。医師の力が強くなりすぎないためだ。ボードには一般人も入れている」
山田
「1人の患者さんが自覚症状があるとGPに連絡してからどれ位で治療、たとえばがんが確定診断がついて手術できるまでどの程度かかるか」
ネイバー
「アクセス時間の問題はたしかに弱いところだが、GPの収入に貢献しているところでもある。緊急の時には2日以内にGPと面談できる。ある特定のGPを指定した場合はその限りではない。時間管理はイギリスの弱点で、救急はともかく、慢性ケアは時間的には優れていない。それは病院への投資が過少だからで、たとえば吐血などの場合には2日以内にGPが診て、2週間以内に治療が開始されなければならないというのが政府の目標として明文化されている。他のヨーロッパ諸国と比較すると遅いかもしれない。フランスは5日以内に専門医の診断が行われ2週間以内に手術が行われる。しかしフランスでは予算の12.3%が医療へ振り向けられている。英国では病院への予算が少ない。それから看護師の数が足りないので、それが病院での遅れになっている」