勤務医対策で、「ドクターフィー」を導入か (下)
2010年度の診療報酬改定に向け、「入院基本料」などの入院医療費について最初の審議となった4月15日の中医協・診療報酬基本問題小委員会で、厚生労働省が提示した資料と、これに対する委員の意見をお伝えする。(新井裕充)
【遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授)】
では、基本診療料について議題としたいと思います。
基本診療料につきましては、平成20年度診療報酬改定の答申の付帯意見におきまして、入院料を含めて基本診療料全体について議論するということになっております。
これまで、(改定後の中医協では)初・再診料を中心に2回程度、議論していただいた訳でございますが、前回(3月25日)の基本問題小委では、入院料について議論いただく予定でありましたが、時間の関係で議論することができませんでした。
そのような経緯もございますので、本日は入院料について議論をいただきたいと思います。
それでは、前回の積み残しであります資料について、事務局(厚労省保険局医療課)からご説明いただきたいと思います。
【佐藤敏信医療課長】
はい、医療課長でございます。今、委員長からもお話がありましたように、入院(料)に関しての事実上の第1回目ということになります。言うまでもないことですが、本格的な議論の前に、現状や最近の動きについて資料と共にご確認をいただく場と考えております。
時間が非常に限られておりますので、資料をごくごく簡単に説明させていただきます。お手元に、「診―2―1」から「2―4」までということで、基本的には前回提出したものと変わっておりません。
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(資料「診―2―1」)
まず最初に、「診―2―1」からでございますが、これは入院(料)の検討をする前に委員のご意見を伺った時に、この(改定後1年)間の動きや最近の動きについて知っておきたいというようなことがありましたので、私どもの方で、ざっとこの一年間ぐらいに審議会その他検討会でご議論された内容について、ほぼ全文を掲載する形で準備をさせていただいております。
これ、全部を説明していく時間はありませんし、ご覧いただくにも大変不便だろうと思いますので、この(資料の)中をご覧いただきますと、入院や診療報酬にかかわりそうなところというのがいくつか見受けられますので、そういうところは鉛筆書きで枠を囲っておりまして、とりあえずこういうところをご覧いただければいいだろうという形にしております。
(資料「安心と希望の医療ビジョン」取りまとめ)
例えば、めくっていただきますと、5ページですが、「安心と希望の医療ビジョン」(会議)、平成20年6月に出ましたものの中の5ページには、「救急医療の充実」が書いております。
それから6ページには、地域完結型で医療を推進していく、あるいは在宅医療と連携するんだというような話がございます。
※ ページ数は、同日の小委での配布資料が基準
(資料「救急医療の今後のあり方に関する検討会」中間とりまとめ)
それから10ページにいきますと、「救急医療の今後のあり方に関する検討会」、平成20年7月30日に出たもの(中間とりまとめ)でございます。
この中では、例えば15ページ、「今後の整備について」にありますように、救命救急センターだけに焦点が当たっているけれども、第二次救急医療機関の整備についても今後、充実や支援を検討すべきという項目がございます。
それから16ページにいきますと、「出口の問題」、つまりベッドが満床ということで受け入れられないケースがあるが、これをどう考えていくかということについて触れられています。
(資料「安心と希望の医療ビジョン」具体化に関する検討会中間とりまとめ)
19ページからは、先程の「安心と希望の医療ビジョン」(会議)の、今度は「具体化に関する検討会」。
これは9月22日にまとめられましたが、病院に勤務する医師の動き(働き)の評価、それからインセンティブの付与。
例示としまして、「ドクターフィー」などについても検討してはどうかとなっております。20ページも、ほぼ同様の内容になってございます。
(資料「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」中間報告書)
21ページは、「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」、これは10月21日に出たもの(中間報告書)でございます。
23ページをお開きいただきますと、長期入院患者を中心とした精神障害者の地域移行を促進しなければいけないということが書いております。
今度は、先程、DPCのところで話題になりましたが(DPCの拡大方針について宇都宮啓企画官が「社会保障国民会議が参考になる」と述べたことに日医が反論)、これは27ページです。「社会保障国民会議の最終報告」、平成20年の11月4日でございます。
(資料「社会保障国民会議」最終報告)
33ページをご覧いただきますと、救急医療の問題とか、地域医療の困窮、産科・小児科医の不足などの問題を考えていかなければならないと。
それから次のパラグラフですが、(医療・介護費用を)シミュレーションしたんだと、シミュレーションの背景には、医療の機能分化を進めていくとともに、急性期医療を中心に人的・物的資源を集中的に投入していくんだということが書かれております。
それから、少しめくっていただきますと、また精神の話がありまして、今度は精神障害者の地域移行の話(今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会・中間まとめ)でございます。
(資料「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」中間まとめ)
35ページから始まっていますが、ポイントとしましては37ページ、精神科救急医療体制の確保とかモニタリングの充実、それから精神科救急医療と同時に一般救急医療ができるように、連携についても制度上位置付けるべきだということが書いてあります。
次の39ページからは、「安心と希望の介護ビジョン」(11月20日の取りまとめ)が始まっておりますが、ここは割愛させていただきます。
それから45ページ。平成21年度になりまして、3月4日の「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」の報告書です。
(資料「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」報告書)
この中では49ページになりますけれども、「周産期医療に関する診療実績を客観的に評価する仕組みの検討が必要」、それから50ページ、ここでも「ドクターフィーの在り方を検討する」、あるいは「人員確保が困難な周産期医療に携わる助産師、看護師等に対する適正な評価も検討する」となっております。
それから51ページからはかなり個別具体的な話がありまして、NICU、それからNICUを退院するであろう方を受け止める後方病床、それから人的リソース、医師の確保等について、次の52ページぐらいまでにかけて書いてあります。
この1年間の動きというのは、おおよそこういう状況でございます。