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慢性期医療の「質の評価」導入へ議論開始―中医協分科会

 厚生労働省は5月27日、中央社会保険医療協議会(中医協)の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直巳・慶大医学部教授)を約2年ぶりに開催。2010年度診療報酬改定に慢性期医療の「質の評価」を導入していくための議論を開始した。(熊田梨恵)

 中医協には、診療報酬改定を実施していくための調査専門組織として、▽医療技術評価分科会▽医療機関のコスト調査分科会▽DPC評価分科会▽慢性期入院医療の包括評価調査分科会▽手術に係る施設基準等調査分科会-の5つの分科会がある。
 
 今回開かれた「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」は、国が06年に導入した患者の疾患や状態によって診療報酬に差をつける「医療区分」や「ADL区分」の妥当性について検証し、必要に応じた見直しなどについて議論する場。ここで得られたデータや議論結果は中医協の診療報酬基本問題小委員会に報告される。今回の会合は、08年度報酬改定前の07年6月に開かれて以来、約2年ぶりの開催となった。
 
 同分科会は08年度診療報酬改定前に、医療区分やADL区分の妥当性、包括評価導入後の医療の質の変化について調べる「2006年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査」を実施していた。08年度改定では、この結果に基づいて医療区分とADL区分の評価方法の簡素化や医療区分の評価項目の見直しなどが行われた。
 
 医療の質の評価に関しては、「褥瘡(じょくそう)ハイリスク」「痛み」「身体抑制」「尿路感染」などの項目について、リスクがある患者を分母に、実際に当てはまる患者を分子にしてその割合を見る「Quality Indicator(QI)」を使って、前年度との比較検討を実施していた。ただ、集まったデータが不十分だったことなどから、改定に生かせる結果は得られなかったとしている。このため、「医療療養病床の患者に対して、生活の中での医療、尊厳に配慮した医療、患者及びその家族が安心・納得できる医療が行われるためには、医療の質の評価が不可欠である」とした上で、今後の検討課題として、安定したQIの指標を算出するために入院時からの継続的なアセスメントやデータベース構築の必要性を指摘していた。
 
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