先発品と後発品の価格差は必要か―5月27日の薬価専門部会
■ 先発品と後発品は「役割・機能が異なる」
[遠藤部会長]
今、報告があったように検討課題が3つある。一番目のいわゆる「特例引き下げ」についてどうするかということが、一番重要な課題だと思う。
それから、(2)と(3)の「薬価改定の頻度」と「後発品の収載頻度」についても議論いただきたいが、まずは「特例引き下げ」について、資料の質問、あるいは「特例引き下げ」に関する意見を頂、その後、「薬価改定の頻度」と、「収載頻度」も議論していただきたい。
[藤原淳委員(日本医師会常任理事)]
「薬―2」(後発品のある先発品の薬価改定の特例ルールの変遷)についてお聞きしたい(スライド5)。
先発品と後発品とは役割・機能が異なるとされている。その理由として、「専門委員からは、情報量、供給、販売手法など先発品と後発品とは役割・機能が異なり、それに応じた価格差があるとの意見があった」となっているが、この説明は非常に分かりにくい。
これまで国の説明は、「先発品と後発品は同じだから後発品を使いなさい」ということだったと理解している。もう少し、細かく分かりやすく説明していただきたい。
[遠藤部会長]
薬剤管理官、お願いします。
[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
少し分かりにくいまとめをして申し訳ない。先発品も後発品も薬事法上の責務は同じ。当然、品質の確保や、必要な、例えば副作用を集めて役所に報告するなど、安全管理の問題については当然ながら同じ。
しかし、より安心して医療関係者に使ってもらうために、関係している文献の情報や関連する学会の発表とか、医薬品の情報がさまざまある。「こういう効果があった」とか、「なかった」という情報は(先発品も後発品も)同じように役所に報告されて集められる。
そういった、より安心して使えるようなものについては、薬事法を超えた部分で......、部分があるというのが、当時の専門委員の説明。「薬事法上の責務を超えた部分での厚み」というか、現実には法律で規定されていないが、そういった部分が非常に大事であるということを理解してもらいたいということが専門委員からあって、そんなことで、このような書き方になっている。
[藤原委員]
専門委員の名前を借りてそのように言うが、国のスタンスとして「同じだから後発品を使いなさいよ」ということではないのか?
先発品がきちんと情報の部分をやって、それが後発品に置き換えられるという状況の中で、情報が改めて必要かどうか不思議に思う。「供給」という面については十分なのか、そこの認識を今一度、確認したい。
[遠藤部会長]
(薬剤管理官へ)お願いします。
[磯部薬剤管理官]
説明が舌足らずで申し訳ない。もともと厚生労働省として、後発医薬品の使用促進をするという前提は、先発品も後発品も同等の品質・有効性が確保されているという状況でなければ、私どもとしては当然、後発品の使用をお願いできない。当然、それが大前提。
ただ、現実には医療現場で薬を使うときに、「学会でこんな発表があった」とか、いろいろある。そういったものは、医療関係者が自ら集める場合もあるが、メーカーもきちんと、薬事法の責務の上の部分として、医療関係者が使いやすいものとして、そういったこと(情報提供)をするのは医療関係者にとってメリットがある。そういったものが不要ということではないので、そういった部分があろうかと思う。
それを担っているのが先発品メーカーの学術部門であり、MR(医薬情報担当者)の方々であると思っている。例えば、MRの数が何人以上いなければ薬事法上、許可しないとか、そういう規定がある訳ではない。現実には、先発品メーカーの場合は大手なら1社でMRを2000人ぐらい置いているが、後発品メーカーでは多くても1社300人程度と、そういった部分での差が、「いろんな差」に出てくるのだろう。
当然、研究開発の部分について、常に絶え間なく新薬をつくるための研究開発をやっている部分もあるので、そういった部分も(差として)あるだろう。
また、供給の面についても......、この点については......、ま、どういう差があるのか、なかなか答えにくいところ。基本的には、当時としては、「安定供給できないんじゃないか」という議論があった。特に、(後発品)収載後、直ちに薬価が下落しているという状況があって、数年のうちに販売しないというケースもあって、いろいろな指摘があったところだと認識している。
今のところ、私ども厚労省からジェネリックメーカーさんにお願いしているのは、「最低限、5年間は売り続けていただきたい」ということ。最近の状況は、当時に比べると、薬価の下落率も縮まっている。「長く売る」ということで、そういう傾向が見られると思っている。当時としては、安定供給に若干不安があることを指して、このような(専門委員の)お話があったのではないか。その点について今は、供給面については、ジェネリックメーカーさんの安定供給は改善してきていると認識している。
[遠藤部会長]
ありがとうございます。藤原委員、むしろ私から聞きたい。ご質問の趣旨は、本来同じだと言っているジェネリックと先発品に異なる薬価が付いていることについて、どうなのかということをお聞きしたいのか? その意図をお聞かせ願いたい。
[藤原委員]
もちろん、その中に入っている。ただ、国が今、このように(後発品の使用を)進める中で、医療現場として、後発品を使う場合に、「役割や機能が違う」という言い方をされると、品質とか......。品質のことはここ(資料)に書いていないが、「何らかの差があるんだろう」と。そうすると、後発品をわれわれが押し付けられているという感覚がある。
(ここで遠藤部会長が発言をさえぎるが、さらに続ける)
[藤原委員]
それで、「大前提」と言ったが、そういうことを、「厚労省は責任を持って進めますよ」ということは、まったく話が違う! (語気を強める)
「大前提であるけれども」という言い方になっているので、そこが理解できない。
[遠藤部会長]
はい、分かりました。ただし、今のような薬価の決め方をすることは中医協で決定した。ここでの議論の結果、今のような状態になっている。
ここの議論の中では、先発品とジェネリックは基本的に異なるものであり、異なるマーケットとして、それぞれ値段が付いていて適正であるという考え方もあった。
これはむしろ、業界の方々はそれに近い考え方をしている。従って、「特例引き下げ」に反対してきた。もし正しくなかったら後で訂正していただきたいが、そういう考えがあった。
一方で、そうは言っても同じようなものなんだから、極論すれば、「両方まとめて1つの価格にしろ」という加重平均方式などというものもあった。そういう中で、今のような形で折り合いが付いている。
その際、業界側が言っているものの中には、品質が仮に同じであったとしても、コストの掛かり方が違う。販売の方法も違うだろうということで、「異なるものなんだ」という意見があった。しかし、これを丸々認めたのではなく、従って、「特例引き下げ」が行われた。
一方、そういう議論の中で、「ジェネリックの使用を促進しなければいけない」という別の考え方が出てきている。重要な目的として出てきている。そうなると、「ジェネリックと先発品との価格差をどう考えるか」という問題が出てきている。
この2つの議論があって、今のような状態になっている。(特例引き下げが)平成18年度に6%から8%に(2ポイント)拡大したものが、4%から6%に戻っているということは、この価格差の問題ということがある。それを踏まえて、また今後の「特例引き下げをどうするか」という議論を、ここ(中医協)でやっていただきたい。そういうことだと私は理解している。ご納得、いただけるだろうか?
[藤原委員]
いや......、納得というか、薬を使う者としては、そういう形なら、より情報量が多くて安定供給される薬を選びたいということ。「同等だ」と言われても不自然な感覚だろう。そこを、ずーっと言っていると話が進まないので、別の点で、(発言)いいだろうか?
[遠藤部会長]
ちょっと待ってほしい。他の方で何かご意見、ご質問は? では、対馬委員どうぞ。