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脳卒中パス参加医療機関の合同会議が初会合―東京都


 それぞれの発表が終わった後、意見交換が行われた。発言要旨を紹介する。
 
[副座長=弓倉整・都医師会理事]
パネリスト左.jpg各地域は当然参考にしてるパスがあって、それぞれに違いが出てくると思う。A3一枚のオーバービューパスでいくのか、急性期や回復期、それぞれステージごとに分割パスにするのか、という形式の問題がある。特に多摩では在宅を見越したパスを作っていて、医療保険では維持期病院まで(が診療報酬を算定できる)となっているが、実際の患者さんは維持期や在宅の方が過ごされる期間が長い。在宅や介護保険との接着も重要で、多摩のパスは在宅の流れとの接着を非常によく考えていると思う。区西部もケアマネジャーや介護保険との兼ね合いを考えている。維持期までというだけではなくて、切れ目のない患者さんのための医療を目指すなら、在宅までを含めたパスが本当は必要ではないかと感想を持った。診療情報提供書(の機能)をパスの中に加えるという工夫をされているところもある。それぞれの創意工夫がそれぞれのパス作成者によってなされていると感じた。
何か会場からご質問があれば。
 
■簡素化か、詳細記入か-急性期病院はどこまで指示する
[会場]
急性期病院から言うと、患者の現在の情報が正確に伝わることだけでなく、二度度脳卒中を発生させないという情報を的確に伝えることが大事。そういうことを目的にして、基本情報としてリスクファクターの管理目標を、実際の数字として認知することが大事。ワーファリンならINRをいくつにするとか、血圧管理目標のガイドラインも出ているし、『転倒しやすい』などのリスクやその予防法について、基本情報を各施設が明記する方がいいのでは。多摩地区にはちょっとあったような気がするが、具体的に各項目があった方がいい気がする。
 
[副座長]
全体に対する要望ということ。患者さんの基本情報は大切。A3一枚のオーバービューパスは大変なので、工夫のしどころはあると思うが。
 
[丹正勝久・日大医学部附属板橋病院副病院長(東京都区西北部脳卒中医療連携検討会)]
INRをいくつにしてほしいとか、そういうことをパスに果たして入れることが妥当なのかどうか明確には分からない。脳卒中連携パスはリハビリテーションが大きい部分を占めており、がんのパスとは違い、一方向的な連携パスになると思う。がんなんかだと連携パスを作る上ではネットワーク上の治療は一定にすることが望ましいと思うが、脳卒中パスに関しては、治療方針は各医療機関にお任せするという基本姿勢を持っているので、計画管理病院の方が「こういう形でいく」というようなことにはちょっと疑問があるのだが。
  
[会場]
2009年1月の高血圧学会のガイドライン、日本循環器病学会のガイドラインが出ている。脳卒中の再発を予防するためにはこの数値というのが決まって発表されているので、それを患者さんにあてはめて「この目標で」ということを書くのがいいのではないかと考えているのだが。
 
[丹正]
連携を行う上で、「周知する」ということでいけばいいと思うのだが、計画管理病院が指示するというのではないと思う。パスの中でこういう数値について目標として書くのが果たしてどうなのかと思う。再発防止をするためということでいいのかもしれないが、そこまでの管理をパスの中に入れるかどうかということ。複雑にもなる。各医療機関が連携をちゃんとやっていれば、そんなことをいちいち指示されなくていいと思うのでは。連携パスという形でそういうことを伝達していくのかどうかは疑問がある。
 
[会場]
そう言う意見があると思う。これまでは、あえてそこまで紹介状に書かないようにしていたが、実際に(患者が)帰ってくると、INRが低くなっていたり、ワーファリンが抗血小板剤に変わっていたりするということもある。これは自分の経験だけだが、そういうものを明記する項目があってもいいと思う。
 
[大高弘稔・東大和病院長(北多摩脳卒中連携パス協議会)]
抗血小板剤や抗凝固療法のやり方は非常に大事だと思う。急性期病院から回復期に期待することの一つとして、急性期できちっとやってきたPT-INRなどといったものをパスの中に落とし込んでおく必要があると思う。回復期も脳卒中の専門ばかりではないので、「こういう方なので、抗凝固療法に関してこうコントロールしているので、こう継続して下さい」ということには触れておくべき。ネットワークの中で、フリーディスカッションしながら、お互い勉強してやっていって、信頼できる関係を作ることが大切。急性期病院が大事なところを押さえるようにいくのが大切だと思う
  
[丹正]
大高先生が言われたように、やはり周知し、お互いに勉強会をするということが大事。広報活動や周知ということに意義がある問題だと思う。すべてパスに入れて管理病院が指示していくというのには疑問を持つ。お互いの意識を高めていくという方向性であって、連携パスに指示を入れるのかどうかはちょっと疑問。
 
[副座長]
急性期病院からの考え方と、受ける病院の考えは違いやズレがあるかもしれない。星野先生、どうか。
 
[星野寛倫・森山リハビリテーション病院副院長(区東部脳卒中医療連携パス)]
確かに患者さんのリハビリは大切だが、2次予防はすごく大事。私たちのパスにもPT-INR、血圧、糖尿病のA1c、MRアンギオでこういう所見があるとか、急性期の先生に書いてもらう欄はある。ただ、紙面上の問題以外に「まるめ(包括医療)」の問題もある。急性期もDPCに移行しているので、今まで通りきちっとした、厚労省が言うような薬を使えるかとしたら、そういう問題もある。包括医療の中でできるだけ2次予防をしていくというのは頭で理解しているが現実にそこまで厳しくコントロールできているかというと自分自身は反省するところはある。個々のそれぞれの連携する会議で各々が勉強してコンセンサスを得ていればいいのではないか。
 
[副座長]
この話は一度ここまでにしたい。大久保参事の方から何かあれば。
 
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