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「大病院や特定機能病院に有効な指標」 ― DPC評価分科会

■ 「目隠ししながら象を撫でているような感じ」―齊藤委員
 

[木下委員]
 事務局が提出した資料で、「効率性指数」や「複雑性指数」というのは非常に大事な指数で、200床以下であれ特定機能病院であれ、ほとんど変わらない。そうなると、これを(新たな機能評価係数として)採用することは小病院にとっても、非常にありがたい話。

 一方、18ページ(緊急入院患者数)、19ページ(緊急入院患者割合)では、緊急入院の患者の数で見ると、当然400床以上が多いが、緊急入院の割合で見ると、逆になる。小さい病院でも割合で見れば大きくなる。どっちをどう見ていくのか。どちらを採用するかによって当然、違ってくる。

 このようなデータを出した結果、どのように違いが出て、どうするのかという話が出てこない。

 もう1つ、24、25ページの15歳未満の緊急入院。大病院等では数も割合も多い。そうすると、大病院や特定機能病院にとっては有効な指標になるだろう。だとすれば、これを採用していこうということになるのか。 

 データを説明すれば、こんなの誰でも分かる話。どうしていくのか、教えてほしい。

[西岡分科会長] 
 どっちを採用すべきかという意見を頂きたい。「どっちを採るんだ」と言われても、なかなか難しいと思う。あるケースについては病床数が少ない病院に有利な場合もある。これ(新たな機能評価係数)は、絶対にマイナスにはならないので......。

 ※ 前年度の収入を保証する「調整係数」は来年度から段階的に廃止。

[木下委員]
 その話の行き着く所は、池上先生のご指摘の通り。結局、(調整係数を廃止して新たな機能評価係数を)やってみたところ、ある病院においてはとんでもなく......。

 実は、大病院が心配しているのは、「調整係数」は高いが、「新たな機能評価係数」になると、ドーンと下がってしまうことがあり得る。われわれは、そういうことを常々心配している。中小病院でも同じことが起こる可能性がある。

 そのようなことから、池上先生のご指摘が出てきたんだろう。そのような意味で、みんなが救われるような形の数値、例えば、「効率性指数」や「複雑性指数」など、小さい病院でもやっていることは大事なものとして評価に入れていく方が、逆に中小病院が上がっていく可能性がある。そこまでゆとりがあることができると、ありがたい。

[西岡分科会長] 
 最終的には、「現在の機能評価係数」「調整係数」との比較が出てくる。そこに行くまでに、「これは採用しよう」「これは採用が難しいな」というご意見を頂いて、もう少し絞り込んでいただくと、おっしゃったような(シミュレーションを出す)段階まで到達できる。まず、現在の「調整係数」ありきでなく、ご議論していただきたい。

[齊藤委員]
 ちょっと議論がぐるぐる回りしているような気がする。ある領域について、「こっちの項目とこっちの項目のどちらが大事か」ということは、全体図を見ながら判断しないと、そこの部分だけ取り出して、例えば救急は患者の数がいいのか、救急車の数がいいのかというミクロのことを議論しても、全体を取りまとめたときに整合性あるものとしてでき上がるか、ちょっと不安がある。
 
 目隠ししながら象を撫でているような感じが常に付きまとう。

 それぞれの性格が分かったら、全体像が見えるような何かのシミュレーションがあって、それとの文脈で、「ここの部分はやはり採用しないといけない」という議論になる気もする。

[酒巻委員]
 つまり、いったんシミュレーションした後に、考え直すことは是である、つまりこの会議で見直すんだということを先に決めておくことが大事。

 誰かの不都合が生じたので、いろいろ意見を言ったために結果が曲がったとか、そうなると非常にまずい。まず、何らかのシミュレーションをやった後、最終的に調査し直すということを先に決めた方がいいと思う。そうでないと、ぐるぐる回ってしまって......。

[西岡分科会長] 
 シミュレーションが一番最後で、それでおしまいということではない。ある程度、議論が煮詰まってきて、項目を挙げていただいて、最後にシミュレーションする。

 本当に、現在のDPCの医療に適切にマッチしているのか、そこが一番大事なので、そこを出して修正していくという形になる。私が1人でしゃべったらいけないが......。

 事務局、そんな流れでいかがだろうか。 

[宇都宮企画官]
 今、おっしゃるような感じでよろしいと思うが、「調整係数」と「機能評価係数」を足したものでのシミュレーションという話は......。

 結局、今、「調整係数」が高い病院がちゃんと高いものを取れるのか、低い病院が低いままなのか、そういう相関を見ることではない。 

 それは、病院の機能というよりも、一体、何を見ようとするのかという問題がある。もちろん、現在高い係数を持っている病院が激変して、急に低くなったらそれは病院としても困るでしょうと。それについては、段階を追って「調整係数」を廃止するということで手当てしようとしているので、現在の係数との相関というか、シミュレーションを取っても......、どういう意味があるのか、正直に申し上げて疑問なところ。

[小山委員] 
 「激変緩和」という、大変いい話だが、企画官は2回、私は3回、池上委員は4回という話をしているので、機能評価係数を並べてみて、あまりにも大きな影響を及ぼすのであれば、2回でなくて3回にする、あるいは4回にする方法があるのだから、これをこれ以上議論しても時間の無駄になるので、できるものをやってみようというところから動いていくしかない。

 堂々巡りはこれぐらいでやめた方がいいかなという気がする。企画官がおっしゃったように 「激変緩和のために、調整係数の何分の1かを残す」ということなので、それで議論を終えていいのではないか。

[西岡分科会長] 
 ありがとうございます。次に移りたいと......。 (他の委員、笑い)

 今日、(厚労省が)示したデータの中から、さらに関係のありそうなものをピックアップしていただくような形で、事務局で再度まとめていただくような形にさせていただきたいと思うが、それでよろしいだろうか。

 (了承、以下略)
 


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