約4割の産科施設、今年度中に出産費用増額を予定―厚労省研究班
厚生労働省の研究班(可世木成明・日本産婦人科医会理事代表)の調査に答えた分娩を取り扱う施設のうち、約4割を占める703施設が今年度中に出産費用を増額する予定であることが分かった。(熊田梨恵)
1月に分娩を扱う全国の病院と診療所2886施設を対象に調査し、1707施設から回答を得た。
分娩費用を今後増額する予定と答えた施設は892施設と過半数。全体の41%に当たる703施設が2009年度中に分娩費用を増額する予定と答えた。
増額予定の施設を地方別に見ると、最も多かったのが関東で251か所、九州・沖縄(185か所)、近畿(133か所)と続く。
増加する平均額は、関東が約5万9千円と最高で、中国・四国(約5万円)、九州・沖縄(約4万8千円)、北海道・東北(約4万5千円)、北陸・東海(約3万9千円)、近畿(約3万5千円)の順。都道府県別に見ると、高知の約11万円が最高で、京都の約1万9千円が最低。
分娩費用を増額する理由(複数回答)は、「医療安全の維持・向上」が33.3%と最多で、「医師・スタッフのQOLを改善し、離職を防止」が30.6%、「産科医療補償制度に加入したため」「診療機器・施設等の充実」が各29.8%など。
全国の出産費用の平均額は約42万4千円だった一方、病院側が求める「適正」な分娩費用の平均総額は約53万4956円。「現在の分娩費用にすべての要素(人件費、検査費用など直接経費、医師賠償責任保険など間接経費)が含まれているか」との問いに対し、60.7%の施設が「含まれていない」と回答した。