中医協の位置付け、見えないまま
■ 「粗ごなし作業がぜひ必要だろう」 ─ 支払側委員
[藤原淳委員(日本医師会常任理事)]
中医協の位置付けの話だが、以前、確か遠藤会長は改定率についても内閣に対して発信することも考えたいというような......。
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
いやいやいや、そんなことは申し上げていない。 (会場、笑い)
[藤原委員(日医)]
言わなかったですかね......。
[遠藤会長]
(声を強めて)意見を言うことは......、ということを申し上げた。
[藤原委員(日医)]
えっと......、そ、それで、その範囲内でいいと思うが、基本方針について、例えば、中医協である程度の「こういった方向性」というのを......。
まぁ、(医療)現場(の者)が集まって(議論を)やっているわけだから、相当、濃いものが出ているはずなので、それを社保審等に上げていく。その他、ビジョン会議など(の取りまとめ)もあるが、そういったものを引っくるめて、その中で取り上げ、中医協の意見を1つの柱として取り上げていくという方向性は持てないものかなと思っているが、いかがだろうか?
以前は、中医協がそういったこともきっちりコントロールというか、やってきたところもあるが......。まぁ、「今の体制のままでいい」と言われればそれはそれで......。
▼ 日医は中医協での発言力を手放したくないのだろう。とすると、日医に不利な改定をするならば社保審の両部会を重視するという方向性が見えてくる。
(対馬委員、大島委員が挙手)
[遠藤会長]
ちょっと......、直接関係すると思うので、対馬委員、先にお願いできますか。
[対馬忠明委員(健保連専務理事)]
全体の......、内閣だとか、ほかの審議会、それから中医協との関係というのは、ここ(資料)に書いてあるように、(中医協改革が)平成17年なので、それから2回の改定を終えている。
ですから、その2回の改定の時にも、こういう大きな枠組みの中で、中医協の議論をしてきたが、ご承知のように中医協はいろいろな課題を抱えているので、粗ごなしはいろいろやってきたと思う。
今回もかなり押し迫ってきているので、こういう全体の大きな流れはこの通りだという理解の下で、それなりの粗ごなし作業がぜひ必要だろうと思う。
先ほどの事務局(保険局医療課)の話にもあったが、仮なら仮でいいが、これまでも今後のスケジュールを出していただいたと記憶しているし、また議論していかないと、最後の最後にすべて固まっていないで、「さあ、1月から議論しましょうね」というのではとても間尺に合わないということになりかねないので、これまで同様に粗ごなし作業をやっていただきたいと思う。
▼ なるべく早く、診療所の再診料の引き下げ(病診格差の是正)を議論したいのだろう。
[遠藤会長]
ありがとうございます。大島専門委員、どうぞ。
[大島伸一専門委員(国立長寿医療センター総長)]
今の藤原委員のお話というのは、(中医協を舞台にした贈収賄事件を契機にした)平成17年の「中医協の在り方に関する有識者会議」で相当揉んで揉んで、(中医協の権限を縮小するという)結論が出ているというか、考え方が決まっている話。
それを今、これから蒸し返すということになれば、余程、基本的なところから議論し始めなければいけない話になると思う。今、ここでやるような話ではないと、私は思う。
[遠藤会長]
ありがとうございます。私も、「(中央社会保険医療協議会の)新たな出発のために」という(最終報告書を出した)中医協の在り方に関する有識者会議を傍聴していたが、そこで議論されて決定された事項なので、これについて大島専門委員がおっしゃったように、余程のことが......。
つまり、このやり方が明らかにおかしいということがない限りは、(内閣、社保審、中医協の権限範囲を)「修正すべきだ」ということを中医協の立場で申し上げるのはなかなか難しいと私は理解している。何か、これについてご意見ありますか。よろしいだろうか?
(反対意見なし)
はい、ありがとうございます。それでは......、ただ今の一連の議論......。勝村委員、どうぞ。
[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
遠藤会長にまとめていただいた通りでいいが、ちょっと1つ要望しておくと、7月(の中医協)が今日で終わって、8月もほとんど開催がないと思うので、ぜひ、2ページ(スケジュール案)の左上での中医協のところ、12月までの(審議)内容を次回の総会で、もう少し具体的に......。検証結果が、いつごろ、どんな議論をしていくというのを......。
ま、僕としては少し......、以前......、これまでよりも早めにできる議論を多めにきちんとしていけたらいいなということで、改めてお願いをしておきたいと思う。よろしくお願いいたします。
[遠藤会長]
(厳しい口調で)重要な課題を抱えているので、例年そうだが、今回、大きな課題をいくつも抱えているので、「できるだけ早めの議論をすべきだ」というのは私も同意している。
ただ、次回の総会までにその辺がまとまるかというのは事務的な問題もあるので、「努力目標」ということで次回の総会。できなければ、できるだけ早急にという形で仮のスケジュールのようなものを作っていただきたいと思う。
(反対意見なく、了承)
はい、ありがとうございました。従って、社会保障審議会の「医療部会」と「医療保険部会」の動向を踏まえつつ、中医協においても診療報酬の議論を進めていきたいと考えている。引き続いて、「医療費の動向等について」を議題とする。(以下略)
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【目次】
P2 → 「基本方針は両部会で一本化されるか」 ─ 公益委員
P3 → 「議論するテーマを出していただきたい」 ─ 患者側委員
P4 → 「粗ごなし作業がぜひ必要だろう」 ─ 支払側委員