中医協、今こそ大胆な改革を
【日医執行部の委員を解任すべき】
前回の診療報酬改定では、積み残された課題として、初・再診料の見直し、回復期リハビリテーションに導入された成果主義など、約10項目の付帯意見があった。しかし、これらはほとんど議論されていない。
初・再診料など基本診療料は、今年3月に議論を開始する動きがあったが、DPCの退出ルールを強行に主張する日医の妨害で中断している。夏ごろからは、診療所と病院間のパイの奪い合いと批判される「選択と集中の考え方」をめぐる議論などで錯綜している。診療所と病院の連携を含めた「地域完結型の医療」が喫緊の課題であるのに、医療再生につながるような診療報酬改定を議論するのが難しい状況に陥っている。
現在の日医は、執行部と都道府県医師会、郡市医師会との間で意見の違いが見られる。医療事故調査委員会の設置をめぐる議論では、長崎県の諫早医師会(高原晶会長)が独自にアンケートを実施し、厚労省案に「ノー」を突き付けた。
後期高齢者医療制度では、茨城県医師会(原中勝征会長)が都道府県レベルの医師会で初めて廃止を求める声明を発表。「みなさん、こんな高齢者いじめの制度が許せますか!」と題するポスターを作成し、反対の署名活動を展開した。今回の総選挙でも、いち早く民主党支持を打ち出し、「茨城県医師会の反乱」などと報じられて注目を集めた。
今後、中医協の議論を活発に進めるためには、現在の日医執行部に中医協の委員を降りてもらい、その代わりに地域医療を実践している郡市医師会や都道府県医師会の政策提言に期待するのも1つの方法かもしれない。
さらに、大学病院など高度な医療を提供する病院の関係者を委員に迎えることも必要だろう。現在の中医協には、高度急性期病院や大学医学部の教育などに精通した委員が欠けている。