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救急受け入れ対策、「医師の適正配置もある」 ─ 厚労省課長

医療課・佐藤敏信課長(右2)0930.jpg 重症の救急患者を搬送するため、救急隊が医療機関に4回以上照会した事例が大阪や東京など大都市部で多く見られることから、厚生労働省の担当者は9月30日の中医協で、「単純に医師を増やすとか単純に医療機関を増やすということだけでは難しい」とした上で、「医師の適正配置というのも、もしかしたらある」と述べた。(新井裕充)

 中央社会保険医療協議会(中医協)の基本問題小委員会が9月30日に開かれ、来年度の診療報酬改定で重点的に評価する周産期・救急医療について具体的な議論を開始した。
 議論に先立ち厚労省は、今年1月に総務省消防庁と合同で行った「平成20年中の救急搬送における医療機関の受入れ状況等実態調査」の結果を示した。

 調査によると、医療機関への照会が4回以上の事案が1万4732件(全体の3.6%)で、救急車が現場に30分以上滞在した事案は1万6980件(4.1%)だった。照会回数の多い事案の比率は大都市部で高かった。照会回数を都道府県別に見ると、奈良が12.5%で最も多く、次いで東京(9.4%)、埼玉(8.7%)、大阪(8.2%)などの順だった。

救急受入れ分布2.jpg この調査結果は今年3月に公表済み。厚労省は次期改定に向けた資料として示すため、全国平均の「3.6%」「4.1%」を上回る地域を赤く塗りつぶした日本地図のイラストを示し、保険局医療課の佐藤敏信課長が次のように説明した。
 「宮城県や茨城県など、一部の例外はあるが、4回以上問い合わせた事例、30分以上かかった事例が全国平均を上回った所は、一般的に言うと医師が多い地域に多いから、単純に医師を増やすとか、単純に医療機関を増やすということだけでは、なかなかこうした問い合わせの事例を減らすということは難しい」

 その上で、救急受け入れ問題を「診療報酬だけで解決するのは非常に難しい」と指摘。診療報酬以外の対応策として、「ベッド満床の改善」を最も強調したほか、「ルールを変える」「体制を整備する」「補助金」「医師の適正配置」を挙げた。
 「ベッド満床」については、「ある程度、人知を尽くせば改善できる余地もあるだろう。『ベッド満床みたいなものが改善するように』というのが関係者の希望」などと述べた。詳しくは次ページ以下を参照。


 【目次】
 P2 → 照会回数が多いのは「医師が多い地域」 ─ 厚労省
 P3 → 「ベッド満床は人知を尽くせば改善できる」 ─ 厚労省

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