搬送・受け入れルール、都道府県は毎年の見直しを-消防庁・厚労省検討会
総務省消防庁と厚生労働省は2日、「傷病者の搬送及び受け入れの実施基準等に関する検討会」(座長=山本保博・東京臨海病院院長)を開催し、都道府県に策定が義務付けられた救急搬送・受け入れルールについて、作業部会がまとめたルールの指針となるガイドライン案を報告した。搬送実績を毎年調査・分析してルールを見直すことや、搬送先となる医療機関を▽緊急性▽専門性▽特殊性-の三つで分類することなどが盛り込まれている。(熊田梨恵)
■「救急搬送・受け入れルール」とは何か、なぜ策定する必要があるのかなど、詳細はこちら。
作業部会がまとめたガイドライン案は、ルール策定を義務付けられた都道府県向けの内容。あくまで指針を示すものとして、具体的なルールの中身は地域の実情に応じて策定するよう求めている。
ガイドライン案では、都道府県が設置する新しい協議会はまず地域の救急医療の需要について調べ、必要な医療提供と搬送の体制を把握した上でルールを検討することを提案。この協議会で搬送実績の調査や分析を行い、少なくとも年に一度はルールの見直しを行うことも求めている。救急隊が現場で搬送と処置のどちらを優先させることが救命率などの向上につながるかといったことも、長期的に検証していく課題として示した。
搬送先となる医療機関について、次の項目で分類することを提案し、この内容を元に医療機関のリストを作るとしている。
▽緊急性...脳卒中や心筋梗塞など生命に影響を及ぼすような、緊急性が高い傷病に対応するもの。
▽専門性...小児や妊産婦など専門性が高いもの。
▽特殊性...搬送に時間を要している傷病(透析、精神疾患、急性アルコール中毒、見受診妊婦)など、特殊な対応が必要なもの。地域によって内容が異なってくるため、分類基準は各地域の調査などで設定。
(※さらに詳しい内容はこちらを参照)
ただ、医療機関リストの公表の仕方によっては、一般の患者がリストアップされた医療機関に詰め掛けることも予想されるとして、住民側へ情報発信などを行っていくことで理解と協力を求めていくことも重要とした。
また、どうしても受け入れが決まらない場合の対応を決めていくことも必要として、搬送コーディネータの設置や基幹病院による調整、一時的な受け入れ先の確保などの方法を提案。消防機関と医療機関の間での合意形成を求めている。
さらに、県境など都道府県を超えた搬送が必要になる場合を考え、搬送先医療機関のリストに隣接する都道府県の医療機関を加えるなどの調整についても提案している。
ガイドラインは10月中に都道府県に通知されるため、消防庁と厚労省は次回16日に開く会合で大筋を取りまとめる予定だ。