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〔裏・自律する医療①〕「関係者一同、謝罪が必要」 出産一時金問題

 出産育児一時金に関して、開始直前にバタバタと見直しが行なわれた。なぜ、こんなことになってしまったのか。事の経緯を追っていくと、泥沼にはまっている医療事故調問題と共通する構造が見つかった。厚生労働省と医療界との馴れ合いの関係が時代にそぐわなくなってきていること、それなのに依然として医療界に自律の動きは鈍いことが、改めて浮き彫りになったとも言える。(川口恭)

 「しくじりのツケを妊婦さんに負わせることになってしまい、本当に申し訳なく、我々も含めて関係者一同で謝罪する必要があると思います。大臣にも意に染まない決断をしていただいたと思いますが、それでも今回はこうするしかなかったのです」。海野信也・北里大教授は、そう語る。

 なぜ海野教授がこんなことを言うかといえば、事態を収拾すべく9月末に4日間に3回も長妻昭・厚生労働大臣と会って折衝したからだ。海野教授を大臣と引き会わせたのは足立信也政務官で、梅村聡参院議員も同席していた。

 海野教授が動いたのは、この問題に関して署名活動を行なっていた『日本のお産の守る会』から相談を受けたことと、産婦人科医会のメーリングリストに流れたある開業医の嘆きに大変に心を打たれたことと二つの理由があるという。

 その嘆きとは、こんな内容だった。--自分はお産が好きなので、ほとんど儲からない中で、家族に迷惑をかけながら細々と診療所をやってきた。でも、今回の資金繰りをすることは絶対にできない。悲しいけれど診療所を閉める--

 「分娩施設が一つなくなるということがどれだけの影響を地域に与えるか、我々は、もう既にイヤという程経験してきています。しかも、お産を続けたくなくて閉鎖するというならともかく、お産が好きなのに閉鎖するなんて、余りにもバカげている」

 9月20日ごろまで内閣の体制が固まらず誰に話を持っていけばよいか分からない中、民主党の医療マニフェストを制作した足立氏にも事情を説明していたところ、運よく足立氏が政務官に就任した。

 「長妻大臣からしたら、経緯のよく分からない話で、さらに前政権の後始末ですから、足立政務官が仕切ってくれなかったら、見直しせず突っ込んだのではないでしょうか。ただ結果から見ると、何の責任もない妊婦さんと大臣に、しくじりのツケを回すことになってしまい本当に申し訳ないと思っています」

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