中医協の新委員は、「決して誘導されません」?
■ トリアージシステムへの「誘導」
[保険局医療課・佐藤敏信課長]
はい、医療課長でございます。ただ今、会長からメモをご提示いただきましたが、前回、開催しましたときに救急医療と周産期医療を簡単にご説明いたしましてご議論をいただきました。
今回は、小児医療、それから勤務医の負担軽減について説明資料と参考資料とをセットで準備しております。まず、「小児医療等について」でございます。本文と資料に分かれておりまして、本文と資料を両にらみしながら話をお聴きいただきたいと思います。
▼ まるで塾講師と生徒のような絵。延々と続く"講義"に誰も口をはさまない。前日、委員向けのレクを十分にしているのだから簡潔にすればいいのではないか。こんなことで日本の医療は大丈夫だろうか。
これまで、(前回改定から)1年半の中で、小児科についてはご説明したこともありますし、あるいは社会保障審議会の医療部会、医療保険部会で説明したこともありますので、「エッセンス」に絞って話をさせていただきます。
今も申しましたが、参考資料と本文の1ページをご覧いただきながら聴いていただきたいと思います。まず、参考資料をお開きください。小児科の救急医療体制というのは......。(中略)
▼ 「エッセンス」というのがポイント。以下、資料を通じて一定の方向に誘導する説明を展開。結論から言えば、「軽症が多いからトリアージ体制を診療報酬で評価すべき」「重篤小児の死亡率が高いから小児救命救急センターを整備すべき」というプレゼン。
○ 小児医療の体制
略。
▼ 3段階(初期救急、地域小児医療センター、小児中核病院)があり、その前段階に電話相談があることを説明。
○ 小児科を標榜している施設数
略。
▼ 病院も診療所も減少傾向にあることを説明。
○ 小児科医師数の推移
略。
▼ 病院と診療所全体の医師数は増加。病院はやや減少、診療所は微増。佐藤課長は、「医師数については漸増という状況かと思われます」と述べた。
○ 小児救急の内訳
略。
▼ 二次救急の90%以上が軽症であること、入院を要するのは5%にすぎないことなどを説明。
○ 小児電話相談の実績
略。
▼ すぐに入院する必要があった患者は4%であることを指摘。
○ 時間外に受診した理由
略。
▼ トップは「急病」、次いで「早期治療希望」、「非改善」、「小児専門医診療希望」、「通常時間受診不可」などの順。このうち、「小児専門医診療希望」と「通常時間受診不可」はほぼ同数だが、「通常時間受診不可」が丸で囲んである。佐藤課長は、この部分を強調した。
○ 通常時間帯に受診できない理由
略。
▼ 「仕事」が多いことを指摘。
○ 小児救急トリアージ
今度は、「小児救急トリアージ」と呼ばれるもの。もともと、トリアージという言葉は災害医療からスタートしたものなので、ここで言うトリアージは、大震災など災害の時におけるトリアージと少し意味が違っておりまして、「医師に代わって看護師などのコメディカルが患者さんの振り分けをするもの」ということです。
○ トリアージ区分
(資料を)めくっていただきまして、国立成育医療センターの小児のトリアージのガイドラインをお示しいたします。(中略)
▼ 蘇生、緊急、準緊急、非緊急の4区分について説明した。
○ 看護師のトリアージの有効性(国立成育医療センター)
12ページ、13ページでは、それ(トリアージ)を検証しているわけですが、12ページでは、(トリアージで)「蘇生」とされたものから「非緊急」まで、「実際に入院がどのぐらいあったでしょうか」というものを見ますと、「蘇生」で88%、「非緊急」で0.97%ということですから、個々の患者さんにとってみれば「外れた」という患者さんもいるかもしれませんが、総体として見れば、おおよそ了解できる状況じゃないかな、おおよそ納得できるトリアージになっているんじゃないかということです。
○ トリアージシステムの有用性(国立成育医療センター)
13ページはもう詳しくは説明しませんが、これ(トリアージ)を看護師がやる場合、救急医がやる場合、研修生がやる場合、看護研修生がやる場合を比較しています。(中略)
▼ 以下、トリアージシステムに関する保護者へのアンケートを紹介。看護師のトリアージに対して、「妥当な判断である」との回答が95%だったこと、トリアージのメリットやデメリットなどを説明。佐藤課長は、「おおむね好評を頂いている」と述べた。
○ 10年間の救急搬送人員の変化
略。
▼ 小児は軽症が多いことを説明。次のスライドからは、重篤小児の関連。
【目次】
P2 → 次期改定に向け、22の検討項目を示す ─ 遠藤会長
P3 → トリアージシステムへの「誘導」
P4 → 小児救命救急センターへの「誘導」
P5 → 論点という名の「誘導」