財務官僚の提唱する新しい医療提供の形 ~『現場協議会より』
今月7日の『現場からの医療改革推進協議会』の中で、ぜひ皆さんに紹介したいなと思いながら、しかしあまりにも発表が早口だったためメモが追いつかずにいたものがある。簡単な文字起こしができてきたので、ご紹介する。発表者は、財務官僚で現在は預金保険機構金融再生部長に出向中の松田学氏だ。医療界の方々が「当然」と思っていることが、本当に当然のことなのか考えてみていただけると幸いだ。(川口恭)
先程、亀田先生(隆明・鉄蕉会=亀田総合病院=理事長)から現在の診療報酬は破綻状態にあるとの紹介があった。それでは財源はどうするのかということをそろそろ設計しないといけない時期になるのではないか。ということで提案をさせていただきたい。
医療崩壊の問題は、医療の財源不足問題にほとんどは起因しているように根本的には思われる。民主党が政権を取って、医療費のGDP比を8.1%から8.9%のOECD平均へ上げるということで医療費抑制政策からの大転換が期待されているが、問題は医療費を増やすのを国民負担で増やすのかどうか。それが、本当に可能なのかどうか。そういうところを一回ちゃんと考えなければいけないのではないか。
日本の場合、よく低福祉低負担か中福祉中負担かと言うが、どうもこういった選択肢が成り立たないのではないか。他の先進国並みの中福祉をやるのであれば、今のシステムのままであれば高負担が必要。これが日本の制約条件だ。その理由は、少子高齢化の程度が他国より際立ってきついということで、一人あたりの負担がそれでなくても多い。それから、財政状況が先進国で最悪であるということ。過去の債務処理でも相当なことがこれから待っている。どうも医療界の方々が期待するほどこれから財政からの投入が十分期待できるか、分からない。
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