11月20日の中医協 (ブリーフィング)
厚生労働省は11月20日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の薬価専門部会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)
【前回までの中医協】
○ 11月18日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月13日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月11日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月6日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月4日の中医協 (ブリーフィング)
■ 薬価専門部会 ─ 特許期間中の新薬の薬価改定方式
[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
本日は、薬価維持特例の問題について議論を深めたということでございます。最終的に結論は出ておりませんけれども、(禰宜寛治)専門委員(武田薬品工業)からの資料について、種々の質疑があったということでございます。
それで、最終的には(遠藤久夫)部会長(中医協会長、学習院大経済学部教授)から、今後、経費がどれぐらい、財源がどれぐらい食うのかという話と、制度上いろいろな指摘を受けたことについて、(未承認薬・未承認適応などへの)担保はどうなっているのか、そのようなことについて、また資料をまとめてですね、引き続き検討しようということになったわけです。
▼ 後発品のない特許期間中の新薬のうち一定品目を薬価改定の対象外とする「薬価維持特例」について、禰宜寛治専門委員(武田薬品工業コーポレートオフィサー業務統括部長)が未承認薬・未承認適応への対応を中心に説明した後、意見交換に入った。「薬価維持特例」に批判的だった日本医師会の委員が10月の人事で外れて最初の議論となったが、診療側と支払側委員から集中砲火を浴びる結果となった。公益委員からも「患者の負担が増える」などの指摘があり、「薬価維持特例」の導入に暗雲が立ち込めている。
「薬価維持特例」の導入によるメリットとして、禰宜委員は未承認問題の解消を強調したが、邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)は「子どもが『宿題をやるからこずかいをくれ』と言うのと同じ」と批判、企業として当然の取り組みであると退けた。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も、「ドラッグ・ラグの解消は国策的な対策基金等でやるのが正しいのではないか」と指摘。特許期間が切れた後の価格引き下げについては、「今の後発品ほどは下げられない要因が先発品メーカーにあるのではないか」などと追及した。
支払側の白川修二委員(健保連常務理事)も、「得た利益を新薬開発に投資して国際競争力を高める一方、未承認薬への適応などに使うというのは概念としては分かるが、それは担保できるのか理解できない」として、薬価維持特例による利益をドラッグ・ラグの解消などに使う仕組みを示すよう求めた。
議論を受け遠藤部会長は、▽薬剤費の推移のシミュレーション ▽薬価維持特例の導入によるドラッグ・ラグの解消など制度上の担保となるような提案─の2つの資料を提出するよう専門委員に求めた。また、邉見委員の要望を踏まえ、「ジェネリックメーカーのお考えがもしはっきりしているなら、文書でも結構なのでお聴きしたいので検討をよろしくお願いしたい」とした。
【目次】
P1 → 薬価専門部会 ─ 特許期間中の新薬の薬価改定方式
P2 → 基本問題小委員会① ─ 後発医薬品の使用促進
P3 → 基本問題小委員会② ─ 療養病棟
P4 → 基本問題小委員会③ ─ 有床診療所
P5 → 基本問題小委員会④ ─ 改定率に関する意見具申