「医師適正配置委員会」が県内の医師派遣を調整-嘉山孝正氏講演
このバックグラウンドには何があるかというと、山形県のどの地区には心臓病の患者は何人ぐらいいて、心臓病の専門医は何人というデータを私が全部持っている。それを基にして、ある病院が『心臓の循環の医者がほしい』と言っても、患者さんの目線から見て、その地区に心臓の循環の医者がほかの地区と比べて十分にいる場合は出さない。新庄という地域はお産ができなくなっていた。開業の先生が『もう疲れたからやめる』と、閉めるということになったので、急きょ産婦人科の教授を呼んで、産婦人科の大学院生に研究を1年間ストップしてもらって、そういう事情を(派遣先に)行く若い医師に話すんですよ。『お前がこの地区のお産を守るんだ』と。そう言うと、行ってくれるんです。そういう事情を分かると。教授が訳分からないで、ただ『行け』とか、医局長が『行ってくれ』というのでは全然違って、『ここのお産を守らなきゃいけないよ』と。
そしてこの委員会で納得してもらって。なのでこういう書類(左上)があるんですよ。(異動理由に)「教育能力に著しく優れ、学生や研修医の教育に多大な貢献をすると考えられる」とか。転院先の病院長や本人、医局長とか総務課長の判子が全部必要と。こういう書類を持ってあの委員会に。特別問題ない時は持ち回りでやるんですけど、『ここに本当に必要なのか、足りないのか』とか、『なんとかして地域医療を守らないといけない』という時には、外部委員は新聞社の会長さんとかお忙しいんですけど、来て頂いて開いている。
うちではいわゆる『引き上げ』だとかいう言葉は使われません。名前は『適正配置委員会』と私が付けた。なぜかというと、『医師派遣』というと派遣業は我々はできないので、逮捕されちゃうといけないので(会場笑い)この名前にしたんです。
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